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Google Glassは流行らない? 一般販売を前に“失敗論”

 「ネット利用を一変させる」と期待を集めた「Google Glass」に“失敗論”がわき上がっている。発表当初の関心が薄れ、開発者の中にはアプリの開発を打ち切るところも出ているというのだ。本格展開に先だって、非開発者も購入できる「Explorer」プログラムでの販売をしている段階だが、早くも、コンシューマー市場ではうまくいかないとの観測が出ている。

開発会社の撤退、中断相次ぐ

 Reutersは11月14日付で「早期開発者の信頼を失い、Google Glassの未来に暗雲(Google Glass future clouded as some early developers lose faith)」と題した記事を掲載した。ポイントは、同社が取材したGoogle Glass向けのアプリを開発する開発16社のうち9社が、Glass向けのアプリ開発プロジェクトを打ち切った、あるいは中断したというものだ。

 開発を中断したゲーム開発会社のトップは「Google Glassの販売台数が2億台とかいうレベルなら見通しは違っただろう。現時点では(Glassの)市場はない」とReutersに語り、FacebookのVRヘッドセット「Oculus」など他のプラットフォーム向けの開発を検討すると述べている。エクササイズ用アプリの開発を中断したという別の開発会社も「市場の規模が十分ではない」と理由を語っている。

 早期にGlass用ゲームアプリを出したGlu Mobileや、TwitterもGlass向けアプリ開発を中止したという。Wall Street Journalも同日付で、ソーシャルメディアのPathや写真アプリなどGlass向けアプリを開発していた開発会社が開発を打ち切ったことを伝えている。

 「Explorer」プログラムは限られた数を出して市場の反応を見る意味も持っており、1500ドルでGoogle Glassを販売中だが、最近、eBayに流れた中古は半値だったという。昨年初めのExplorer版開始時に10倍以上の値がついたのとは大違いだ。

 一方、社内の様子では、開発責任者のBabak Parviz氏、電子分野の開発を率いていたAdrian Wong氏、外部開発者との関係を統括していたOssama Alami氏など、Glassの開発を主導していた開発者たちが半年間に相次いで退社したという。

 さらにGlass向けの広告分析「See Through」のAlex Foster氏は、開発していたGlass向けフィットネスアプリの出資を引き上げられたと証言している。「ひどい話だ。コンシューマー向けのGlass向けベンチャーは、完全にダメになったか(エンタープライズ製品や対抗するウェアラブル製品をターゲットとする方に)方向性を変えてしまった」と述べている。

 Googleは年内を予定していたGlassの一般向け発売を2015年に延期したという。

(岡田陽子=Infostand)