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DockerともOpenStackとも手を組む VMwareの生き残り戦略

倒せない敵なら手を結ぶ

 VMwareはDockerとの提携で、コンテナ技術との対立ではなく共存、あるいは補完を選んだ。Dockerは、Google、IBMなどの支援を集め、投資家からも仮想化に次ぐ新しい技術として注目されている。提携はDockerのほか、Google、VMwareのスピンオフであるPivotalも含み、VMwareの仮想インフラ、vCloud Air上でのDockerの利用を可能にしていく。また、コンテナ技術との併用のためのプロジェクト「Project Fargo」も発表した。

 コンテナ技術は仮想化技術のようにOSを含まず、アプリケーションの管理手法として注目を浴びている。Dockerの人気は“仮想化のVMwareにとって脅威”と見られていたが、VMwareはイベント中、「コンテナ配信のベストな方法は仮想化を経由することだ」と両者の相性の良さをアピールした。

 Googleは、インフラにおける仮想化技術とアプリケーションにおけるコンテナ技術の両方のメリットを挙げ、社内で仮想マシンとコンテナ技術を併用しているとした。特に、仮想マシンはセキュリティ面でメリットが大きいとeWeekに述べている。

 これらの提携の下、VMwareはDocker関連のプロジェクトであるlibswarm、libcontainer、libchanに参加し、Googleが立ち上げたDocker管理ツール「Kubernetes」でも協力。これによって、仮想化環境でのコンテナ化アプリケーションの実装や管理を可能にしていくという。

 Open StackやDockerとの提携について、メディアは驚きと共に好評価を下している。

 Gigaomは「業界ウォッチャーが将来ITオペレーションにおけるVMwareの独占に脅威になるだろうと見られているコンテナ技術をサポートする。大胆な動きだ」と評価した。CITE Worldも“大胆”という言葉で「高いライセンスコストと低い移植性によりエンタープライズに手錠をかけている」ことでOpen Stack陣営から「敵」と位置づけられることもあったと背景を説明する。「倒せない敵なら、手を結ぶ」とVMwareの真意を解説する。

 Forbesは「VMwareは拡大しつつあるDockerエコシステムとどのような関係を構築するのかを検討してきたに違いない」と探りながら、提携によって「コンテナ化をサポートしながら、既存の仮想化とvSphere環境を維持する論理的な方法を見いだした」と分析した。

 仮想化技術でITを大きく変えたVMwareが次のITトレンドに乗れるか。正念場を迎えている。

岡田陽子=Infostand