クラウド&データセンター完全ガイド：DCC2P
ファーウェイの次世代データセンターソリューション――DCC2P Vol.10「改正省エネ法対策特別セミナー」講演レポート
2023年4月17日 09:00
次世代データセンターのコンセプト
2022年4月施行の改正省エネ法では、データセンター業についてエネルギー使用量やPUE値の報告が義務付けられ、エネルギー消費の削減やPUE値の改善が求められている。しかしデータ量と計算力の激増により、データセンターは高密度化、大規模化し、必然的に電力消費量は増加していく。このため、ファシリティ側の対応強化が必要になっている。
この状況をふまえ、ファーウェイは2022年に次世代データセンターとしてモジュール型データセンターというコンセプトを発表した。これは以下の4つの理念に基づいている。
①低炭素と共生
資源の投入、使用から再生まで、ライフサイクルにおける資源の効率利用を行う。将来的には100％グリーンエネルギーを使用するカーボンニュートラルを目指し、廃熱利用などのリサイクル率を高める。
②シンプル・融合
データセンターそのものの構造や電源設備、冷却システムをシンプル化し、統合運用できるようにインタフェースを統一、融合する。
③自動運転
設備の自動点検やAIベースの障害検出など、メンテナンスや運用を自動化し、リモート運用できるようにする。さらに、AI活用によりエネルギー効率を自動で最適化する。「自動最適化により、PUEを8～15％ほど改善できる」とジン氏は言う。
④安全・高信頼性
部品からシステムまで、受け身的な対応から予防的な対応へ、多重的に安全性を確保する。ポイントは、モジュラー型の設計で、ホットププラグ対応の部品や完全冗長構成によるタイムラグなしの切り替え、常時オンラインにより、強靱性を高めて安全性を確保。重要部品の寿命予測や温度予測などにより障害を予測し、プロアクティブに対応する。
ファーウェイでは、これらの理念の元、エネルギー供給から高効率運用まで、エンドツーエンドの次世代データセンターを構築している。
ファーウェイのソリューション
次世代データセンターは、省電力のIT/IP機器（サーバ、ストレージ、ネットワークデバイス）、省電力かつ省スペースでメンテナンスが容易なパワーモジュールと冷却システムで構築されなければならない。ファーウェイでは、これらの構成要素すべての製品を提供している。
①スマート電源ソリューション
高密度UPS、小型負荷スイッチ、モジュール型電源ラックで構成される「ファーウェイ電源モジュール3.0」は、省スペースかつ省電力で、短納期であることが特徴。一般的には22ラック必要な2.5MWのモジュールが、11ラックですむ。また、ホットバックアップユニットの独立配置で、信頼性を確保する。
②スマート冷却ソリューション
間接蒸発冷却ソリューション「EHU」や風壁ソリューションなど、地域状況に合わせた冷却ソリューションを提供している。自然冷却源を最大限に活用し、熱交換の回数を減らして冷却用電力と水の消費量を削減する。
③高効率運用
AI動的モデリング、最適制御ロジック、ディープラーニングにより、エネルギー効率を最適化。手作業による最適化では時間がかかり、効果の持続時間が短いが、AIによる最適化によって大量のデータを短時間で分析、自動で最適化できる。
「ファーウェイは、エンドツーエンドのソリューションを提供することで、グローバルで低炭素データセンター基盤構築をサポートしている」（ジン氏）という。
