ChatWork社内日記
ChatWork社内日記~クラウドサービス開発会社のちょっと変わった日常
チャットって何が良いの? 情報の共有コストが激減
(2016/1/29 06:00)
ChatWorkという会社で起こっていることをお伝えします
新しい働き方を提案しているChatWork。ChatWork社内でも、自社のコミュニケーションツール「チャットワーク」を日常的に使用しているだろうと多くの方が想像されていると思いますが、実際にどのように使っているのかはご存じない方がほとんどでしょう。
電話がないとか紙がないとかプリンタがないとか、時々新聞やテレビなどでも面白く取り上げていただいているのですが、ほんとかよ?と疑う皆さまもきっといらっしゃるのではないかと思います。それでほんとに会社が回っているの?と(笑)
それが回っているのですよ!ちゃんと。
もちろんチャットワークだけでなく、いろいろなクラウドツールを併用して会社の業務を行っています。確かに東京オフィスでは、社員一人ひとりには電話がないのは事実で、共有の代表電話(それもフィーチャーフォン)が数台しかありません。プリンタも家庭用が1台あるだけです。
チャットワークに限らず、米国でも日本でも、いろいろなビジネス用チャットツールが登場してきています。これは、ビジネスコミュニケーションのあり方がパラダイムシフトする、電子メールの登場以来の大きな出来事なのです。
とはいえ、「チャットで仕事をするなんてどうなの?想像できない」、そんなご意見をよくいただきます。そこで本連載では、ChatWork社内の働き方をリアルに公開していきます!
いま日本で、そして世界で、チャットツールがはやっているのです
ChatWorkではこうやってます、というのをすぐにお見せする前に、まずは考え方・理論からお伝えしようと思います。そのほうが、説明無しに表面的に奇妙な風景を目にするよりも、裏側の考え方を先に頭に入れていただいたほうが、納得感が出やすいと考えるからです。
まずは「チャット」から。
1対1でインターネットを通じてメッセージのやり取りを行うのがチャットの一般的な理解かと思います。
かつては、非IT業界の人たちに認知もされておらず、ましてや仕事で使う機会などなかったことと思います。しかし、最近ではメッセージサービスやアプリが普及し、説明する必要がなくなるほどまで浸透しました。
ほかのSNSサービスやインターネット電話サービスでも、「チャット」機能は当たり前のように付いていることが多いのが昨今です。
チャット文化がいつの間にか根付いてきている、という話をご理解いただけましたら、ここからが本題です。20世紀のころからすでにある「チャット」というコミュニケーションって、何が便利だったのでしょうか?
コミュニケーションは、同期か非同期かに大別される
各種のコミュニケーション手段を、同期が必要か必要でないかという観点で分類すると、下記の表になります。チャットというコミュニケーションは、お互いに時間を合わせて使用するという必要がないため、非同期に分類されます。
あれ?意外!と思う人もいるでしょう。多くのコミュニケーションアプリは、書いたら結構すぐに返事をもらえたりして、メールよりも高速な手段だと思えますよね。でもチャットもメール同様に、電話やテレビ電話、リアルな会議などと異なり、お互いの時間を合わせる必要が本来はないのです。
チャットだけを見ると、メールや掲示板でできることを、高速でやり取りしていることになるわけですね。
非同期コミュニケーションのメリットは、参加者それぞれが作業を進めながら、時間や場所にとらわれずにコミュニケーションが可能な点です。
一方、同期コミュニケーションは、同時に双方がコミュニケーションに参加するため、集中していた作業を中断することになります。リアルな会議なら1つの場所に集まる時間とコストが追加でかかりますね。
非同期コミュニケーション | 同期コミュニケーション | |
該当する例 | チャットツール、メール、掲示板、手紙など | 電話、インターネット電話、直接の対話、会議、ワークショップなど |
メリット | ・自分のタイミングで進行でき、手離れが良い ・集中している時でも邪魔されない ・履歴が同時に残っていくツールが多い | ・急ぎの案件でもすぐに回答を得られる ・密なやり取りができる ・ニュアンスが伝えられる |
デメリット | ・既読のステータス表示があれば「既読スルー」に代表されるミスコミュニケーションに陥りやすい | ・時間が拘束される ・完了後に元の作業に戻る時間が必要 |
口頭で1対1の質疑応答をし、10分の説明時間がかかる内容を5人で共有すると仮定しましょう。下記の図を見てください。
1人がほかの4人に10分ずつ時間を使用しますので、1人当たり合計40分かかります。5人いますから、全員が使用する時間は合計200分。同期コミュニケーションをする場合、正味の200分のほかに移動時間もかかります。
ビジネス向けチャットの場合、資料を添付し10回、20回とメッセージのやり取りを行うことで、1回の説明時間はやはり10分かかってしまうと仮定しましょう。それでもたいていのビジネスチャットツールなら、複数人で1つの共有の掲示板のような場所を作ることができ、そこに1回伝えるだけですので、5人全員の使用時間の合計は50分で済みます。なおかつそれぞれの都合の良い時間に内容を確認して手短なメッセージのやり取りで済むため、ほかに無駄な時間は発生しません。
全員が1カ所に集まる会議なら5人全員の使用時間の合計は50分で済みそうですが、移動時間が別途かかり、さらにスケジュールを調整することが必要になります。消費時間という尺度だけでなく、スピードという点でチャットツールより優位とは言いにくいのです。
ビジネス向けチャットツールは何を変えたのか?
とはいえ、遠隔地に散らばるチームメンバーと非同期にコミュニケーションを取るなら、今まで通りメールで良いじゃない?という疑問が自然に出てくるかと思います。
しかし、そうではありません。下記のようにメールに限界が来ているから、ビジネス向けチャットツールが、はやってきているのです。
・社名、肩書、敬称、定型の挨拶文を記載するため、作成するのに時間がかかる
・大量の迷惑メールで重要なメールを見逃してしまう
・都度CC、BCCで受信者の指定が必要なため、担当者の入れ忘れが発生する
・送受信できる添付ファイルの容量が少ない
・テーマで分類しづらいため、過去のやり取りをさかのぼるのが困難
・誤送信してしまったメールは取り戻せない
・メールの文章は暗号化されていないため情報漏えいが心配
チャットには不要な要素を書くため作成時間がそもそも数倍かかりますし、メッセージのやり取りを10回、20回も行うのにはチャットの数倍の時間がかかります。見逃しリスクなどもあります。メールで中途半端にやり取りをするよりも、会って話をしたほうが伝わったというケースがよくあるのは、みなさんお分かりですよね。
そこでビジネス用チャットツールを使用することで、同期コミュニケーションよりも圧倒的に消費時間やコストが少なく、同じ非同期コミュニケーションのメールなどと比べても、高速かつ安全で使い勝手が良い。これが、ビジネス用チャットツールが、世界を変えるポテンシャルを持っている理由なのです。