特別企画
リリースが秒読みに入ったWindows 10 ビルド10159が公開
Windows Insider ProgramのFastリングユーザーに提供
(2015/7/2 06:00)
Windows Insider ProgramのWindows UpdateをFastオプションに設定しているユーザー(以下、Fastリングユーザー)に対して、6月30日(米国時間)、Windows 10 Technical Previewのビルド 10159が提供された。
7月29日の一般ユーザーに向けたWindows 10のダウンロード開始に向けて、順調に開発が進んでいることが分かる。
2日連続で新ビルドを提供
ビルド 10159の公開に関しては、若干混乱があった。6月29日にビルド 10158を公開したが、翌日のWindows Blogにおいて、担当者のGabe Aul氏が翌日にビルド 10159を公開すると発表したのだ。
Gabe Aul氏のコメントによれば、ビルド 10158は安定したビルドだが、ビルド 10159はビルド 10158から300個以上の修正が加えられ、さらに“興味深い変更”が加わっているという。
Microsoftとしては、Windows Insider ProgramのFastリングユーザーに、いち早くビルド 10159を届けることで、リリースの近くなったWindows 10に関する検証を進めてほしいと考えたため、立て続けに新ビルドの公開を行ったのだろう。
ビルド 10158では、新しいWebブラウザの名称が、開発コード名のProject Spartanから正式名称のMicrosoft Edgeに変更された。この変更では、AppIDが新しくなったため、旧Project Spartanの環境(ブックマーク、お気に入り、クッキーなど)が引き継げなくなっている。
また、Continum機能におけるバグの修正(日本語版ではタブレットモードと名称変更された)、デジタルアシスタントのCortanaの機能強化、画面キャプチャを行うSnipping Toolの改良などが行われていた。また、ユーザーからのフィードバックを集めているInsider Hubは、標準でインストールされなくなった。別途、ユーザーがインストールすれば利用できる。
また、Windows 10のアプリ開発で行えるように、Windows 10 SDKもビルド 10158版がリリースされた。開発者としては、SDKとVisual Studioなどの開発ツールがそろうことで、やっとアプリの開発に取りかかることができる(Wisual Studio 2015のリリース候補版は公開中)。
さらに、アプリが、スマートフォンなどのWindows 10 Mobileでどのように動作するのかをPC上でテストする「Windows 10 Mobile エミュレータ」(ビルド 10158)も用意されている。
数時間だが、筆者がビルド 10158を使ってみた印象では、デバッグ用のコードが削除されたようで、以前よりも軽快に動作するようになっており、新機能のインプリメントの段階から、パフォーマンスチューニングの段階に進んだことがよくわかる。リリースに向けて作業が進んでいるようだ。
ビルド 10159を見る
ここからは、ビルド 10159を見てみよう。
アプリのウィンドウ表示は、一拍間があって、隅からふわっと表示されるようなアニメーションが付いている。OSの内部的にウィンドウ管理がDirect Xベースになったことで、個人的な印象としては、レスポンスのいい表示切り替えが実現しているようだ。
Cortanaに関しては、Microsoftのクラウド側で日本語環境のサポートが完了していないため、ビルド 10159においても、サポートされていない。日本マイクロソフトとしては、7月29日のWindows 10のリリース後にサービスの提供を考えている。ただし、当初は、β版もしくは、α版として、日本語版のCortanaが提供されることになるだろう。本サービスに移行するためには、さまざまな知識ベースが必要となるため、最低でももう一年かかると予想している。
できれば音声などは、ユーザーが好みのキャラクターを選択できるようになると面白いと思うのだが、このあたりは、米国仕様のまま進むのだろう。
またアプリのリスト表示では、ひらがなやカタカナのアプリは50音順に表示されるが、漢字の名称のアプリは、「漢字」というひとくくりで表示されている。漢字名称のアプリにも読み仮名をつけ、50音順に表示してくれると、日本人にとっては便利なのだが。この部分に関しても、7月29日のリリース時にはそのままだろう。リリース後に多くのユーザーがMicrosoftにフィードバックを送ることで、変更される可能性はあると考えている。
なお、今回の立て続けてのビルド提供は、『興味深い変更』をいち早く届けるためだろう。Microsoftとしては、ビルド 10159で加えた『興味深い変更』に関するフィードバックを求めているといえる。7月29日までの隠し球にするのではなく、ユーザーからフィードバックを求めて、機能の良しあし、変更点などのアイデアを多くのユーザーから求めたいと思っているようだ。
実際の『興味深い変更』は、ログイン画面の変更かもしれない。Windowsアイコンから光が差し込むイメージの背景が公開されているが、ログイン画面でも同じようなイメージが使われている。
なおWindows 10に関しては、7月29日のダウンロード提供開始は1つのマイルストーンであって、開発終了ではない。7月29日以降もInsider Programは続くため、Insider Programに登録しているユーザーは、最新の開発ビルドをテストし続けることができる。
ただし開発ビルドのため、安定したシステム環境になるとは限らない。システムが不安定になったり、ユーザーのデータが消去されることもありえる。あくまでも、検証用途で利用すべきだろう。