特別企画

Windowsにこだわらない、サティア・ナデラのMicrosoft

無料のVisual Studio Communityが登場

 開発者にとってうれしいのは、企業での利用以外の大学関係者、非営利団体事業者、オープンソース開発者、開発者5名以下の中小企業において、Visual Studio ProにあたるVisual Studio Communityが無償で利用できるようになったことだ。利用者を限定する形だが、フル機能のVisual Studioが無償で利用できるようになった。これにより、開発者のすそ野も、より広がっていくだろう。

 Visual Studio Communityの発表と同時に、Visual Studio 2013 Communityのダウンロードが始まっている。また、Visual Studio 2015 Communityの提供も発表されている。Visual Studio 2015 Communityでは、iOSやAndroidのアプリ開発が行えるようになるため、もしかすると、さまざまなプラットフォームの開発がVisual Studioで行われるようになるかもしれない。なお、Visual Studio Communityの提供により、Visual Studio 2015では無償版であるVisual Studio Expressの提供は行われなくなった。

Visual Studio Community版により、個人の開発者や小規模の開発会社は、無償でVS Proが利用できるようになる

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 MicrosoftのCEOが、スティーブ・バルマーからサティア・ナデラに変わったことで、Microsoftはダイナミックな変化を見せている。大きく変わったIT環境に取り残されつつあったMicrosoftを、再びキープレイヤーに変えるために、大きな変革を起こしているのだろう。

 ビジネスに関しては、ソフトウェアをパッケージで販売する時代から、クラウドでサービスとソフトウェアを提供する時代へ移行してきている。こういった流れに合わせ、さらにその流れの最先端を切るようにMicrosoftのかじ取りをしようとしているように思える。

 ただ、短期間でこれだけのことを行っているということは、スティーブ・バルマー時代に、.NET Frameworkのマルチプラットフォーム化などが、水面下で進んでいたと見るべきだろう。iPad版のOfficeアプリに関しても、ナデラCEOが提供を決断したように言われているが、バルマーCEOの時代に、開発にGoサインが出されていたことが重要だ。

 Microsoftが、時代の変化に向けて、さまざまな部分で変わっていこうとしているのかもしれない。

山本 雅史