特別企画
Excelでのビッグデータ分析はこんな感じに!~マイクロソフトがデモ披露
2月上旬発売の「Power BI for Office 365」
(2014/1/31 06:00)
マイクロソフトの自信と狙い
昨今、具体的な活用実例が多数報告され、もはやビッグデータはバズワードではなくなってきている。そんな中、マイクロソフトはExcelの使い慣れたインターフェイスを武器に「Power BI for Office 365」を強力に推進していくつもりだ。
マイクロソフトが考えるビッグデータとは何か。一般的な認識では「IT部門の課題である」「データのサイズが重要である」「データサイエンティストのみが扱える仕事である」とされているが、マイクロソフトはこれは間違いだと指摘。実際には「事業とITの両部門の課題」「(サイズが重要なのではなく)使われていなかったデータから付加価値を生み出せるということが重要」「全社員が扱える仕組みが重要」とする。
「もはや、それが何TBなのか、データサイエンティストが足りない、といった議論は終わりにして、ビッグデータの価値を最大化するために現場で誰もが活用できるような環境を実現しなければならない」(同社)というわけだ。
そこで同社が掲げるビジョンが「Bring Big Data to ONE BILLION People(ビッグデータの民主化)」である。今までは「Everyone」という表現を使ってきたが、「One Billion People(10億人)」と具体的に人数を指定してきた。「この数字はすなわち、世界でExcelを利用できる人の数」と同社。「Excelさえ使えれば、ビッグデータをビジネスに活用できる」というメッセージが込められている。これは見方を変えれば、使い慣れたExcelを武器に、この市場での並々ならぬ自信の表れともいえる。
自信の根拠は何であろう。説明会から大きく3つの理由が読み取れた。すなわち「Excelの使い勝手」「データエクスチェンジ市場の潜在力」「顧客の評価」である。
まずは何といってもExcelの使い勝手だ。昨今、手軽に使えるBI製品なども多く登場しているが、長らくITの現場に根付いてきたExcelの影響力は依然強い。ITリテラシーが高くなくても、Excelなら使えるという人も多いだろう。
その分、データエクスチェンジ市場も活性化が期待される。つまりは「データ売買」のことだが、市場にはさまざまなデータを保有する企業が多数いる。今までデータ分析というとデータマートを構築する方法が主流だったが、使いやすいExcelとクラウドがその代わりとなる。外部データ提供会社は、Excelを前提とした手軽なデータ売買が可能となるため、「今後この市場が活性化する」とマイクロソフトは見ているのだ。
顧客の評価も上々という。説明会ではユーザー企業として日本テレビが登壇したが、同社は放送とスマートフォンやSNSを連動させる「JoinTV」を推進している。そこでテレビやスマートフォンの番組視聴ログ・操作ログなどのビッグデータを集積しているが、今までは「ほぼ貯めて・捨てるだけだった」。これを「Power BI for Office 365」で分析することで、視聴者のプロファイル、視聴者別の滞在時間、JoinTVの参加者数遷移などが把握できるようになった。
ここから「O2O2O(Onair to Online to Offline)」も可能となっており、「エヴァンゲリオンの映画が公開されたときは、JoinTVでスマホを使った連動企画を打ったところ、映画館に行った人の4人に1人がその企画に参加していた」(日本テレビ 編成局 メディアセンターの安藤聖泰氏)という。
マイクロソフトの自信の背景にはこうした成功体験があるというわけだ。実際に「商談に行くと、『こんないい機能があるなら、なぜもっと宣伝しないのか』とお叱りを受けることもある」という。あえて課題を挙げるとするならば、Excelの進化をもっとよく理解してもらうことだろうか。
そこでマイクロソフトではOffice 365のトライアル版を提供。Power BIについてもブログで最新情報を発信するほか、エンタープライズサービスによるPower BI支援メニューを各種そろえて、2014年2月上旬にリリースされる「Power BI for Office 365」のスタートダッシュを図る考えだ。