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オラクル、IoTに対する新たな取り組みと最新の事例を紹介
~バイモーダルITに積極的に対応し、2週間でサービスを構築
(2016/5/2 13:30)
日本オラクル株式会社は、4月26日に開催されたOracle Cloud Platform Summit Tokyoにおいて、同社が提供する「Oracle Internet of Things(IoT) Cloud Service」、および導入事例として電動バイクのレンタル事業「瀬戸内カレン」を紹介した。
IoT Cloud Serviceは、さまざまなデバイスを接続するためのゲートウェイ、IoTフロント処理(デバイス管理、ストリーム処理)の機能などを提供する。さらに通知系アクションや業務アプリ、あるいはデータ分析や機械学習といった仕組みとも容易に連携することができる。
さらにIoTに対する取り組みについて、日本オラクル 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の本多充氏は、現在IoTには「Rapid Time-to-Market(素早い市場への展開)」「Continuous improvement(継続的な改善)」「Security & Governance(セキュリティと統制)」という要素が求められていると述べ、ガートナーの提唱するバイモーダルITのアプローチについても説明した。
バイモーダルITでは、これまでエンタープライズに求められてきた堅牢性をモード1、素早く繰り返しデプロイを繰り返す流動性をモード2として定義し、これらの異なる2つの特性の両方に対応することを目指す。
本多氏は「オラクルには長年エンタープライズを支えてきた堅牢な製品技術があり、Oracle Cloud Platformを通じて流動性の高いモード2のアプローチにも対応できる」と述べ、IoT向けの機能を新たに開発していくのではなく、これまでの技術をクラウドで提供することで、モード2にも積極に対応していくとした。
PSソリューションズ株式会社の山口典男氏は、IoT Cloud Serviceによる最新の事例として、ソフトバンクのグループ企業であるPSソリューションズが運営する「瀬戸内カレン」を紹介した、
瀬戸内カレンは、豊島は芸術の島として近年注目されている香川県の離島「豊島(てしま)」において、電動バイクをレンタルするサービスだ。IoT Cloud Serviceによって電動バイクの車両情報、位置情報、バッテリー残量、走行可能距離などの管理情報を提供する仕組みを実現している。
「豊島には見晴らしの良い山があるが、高低差のある地形のため、バッテリ残量だけで走行可能距離を把握することは難しい」と山口氏は述べる。電動バイクの場合、山を登る際にはバッテリを多く消費するが、下る場合には逆に充電される。そのため、山頂でバッテリがあまり残っていない場合であっても、かなり長い距離を走ることが可能になることも多いという。
そこで、瀬戸内カレンでは、位置情報判定のための支援機能として位置情報のデータを分析して高度を特定し、地図データと組み合わせることによって、より正確な走行可能距離の算出が可能になったとのこと。
この瀬戸内カレンの管理情報を提供する仕組みは2週間たらずで実装/展開したと山口氏は述べ、すでに数回の機能拡張が実施されているという。また、認証・暗号化・管理も確実に実施しており、まさに「Rapid Time-to-Market」「Continuous improvement」「Security & Governance」の三拍子が揃ったプロジェクトとなっている。
日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括 担当ディレクターの杉達也氏は、「Oracle IoT Cloud Serviceでは、PaaSとして、IoTに必要な機能が含まれた形で提供されている。そのため、コードを記述して"開発"するというより、PaaSに"設定"してサービスを構築するというイメージになる」と述べ、IaaS上でサービスを開発する競合他社とに差別化をアピールした。
杉氏によると、瀬戸内カレンの開発プロジェクトに関わった日本オラクルのエンジニアは3名であり、大勢のエンジニアを投入して開発期間を短縮したわけではないとのこと。さらに、他社の別プロジェクトでは、日本オラクルのエンジニアは開発に参加せず、サービス説明しただけでサービスの提供を開始するケースもあるという。