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ERMやCRMなどの国内EAソリューション市場、2016年以降はクラウド環境での利用意向が上昇

 IDC Japan株式会社は4日、国内EA(Enterprise Applications)ソリューション市場におけるユーザーニーズ動向の調査結果を発表した。調査対象市場は、Enterprise Resource Management(ERM)、Supply Chain Management(SCM)、Customer Relationship Management(CRM)、Product Lifecycle Management(PLM)、Analyticsの各ソリューション。

 国内1014 の企業を対象に、2016年度の企業の業績とIT予算の動向、経営課題とITビジネスに関する支出動向、各システムの導入状況と利用実態、今後の導入予定について、2016年1月に各種調査を実施した。

 調査では、2016年度の経営課題については「経営の体制強化」「労働力確保、生産性向上」を、情報システム戦略については「既存システムの統合、連携強化」「セキュリティ対策」「データ分析とその活用/共有」を重視しているという回答が多かった。一方で、複雑な社内システムの連携に際し、情報システム担当者に対する「スキルと知識不足」「予算不足」といった懸念が窺えたという。

 EAソリューション5分野の中では、ERM(導入率96.4%)がシステム活用の成熟度が最も低く、その機能が活用しきれていないと説明。一方で、経営利用のデータ分析が本格的な取り組み段階に進み、分析対象となるデータインプットに必要な新たなシステム需要や、2017年に予定されている新税制対応など複数の促進要因から、2016年度に新規導入や刷新を予定する分野では、ERMが最も高い37.6%となっている。データ分析やその後のデータ共有を効率的に行うため、クラウド環境(IaaS、PaaS、SaaS)の利用が、今後のERM分野の製品導入では、従来の導入形態と比較して拡大する見込みだとしている。

現在利用中または2016年度に導入/刷新を予定しているシステムの導入(予定)形態(出展:IDC Japan)

 IDC Japanソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストのもたい洋子氏は、「国内市場はEAシステム導入後のデータ活用に向けた取り組みが加速しているが、新たなデジタルデータ取得や生成に至る前段階にある。2016年の経営課題では既存システムの統合と連携強化が重視されており、情報システム部門による社内システムの掌握とセキュリティ強化が進むとみられる。特に需要の高いERM分野における企業のシステム成熟度は低く、2016年は財務会計や人事管理でクラウド環境の利用拡大とともに第3のプラットフォームと連携することで高度化を目指す年になる」と述べている。

三柳 英樹