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大塚商会の2015年度決算はわずかに増収増益、大塚社長は「6期連続増収増益」を強調

 株式会社大塚商会は1日、2015年度(2015年12月期)の決算を発表した。連結売上高は前年比0.5%増の6090億4500万円、営業利益は同0.6%増の373億1100万円、経常利益は同0.3%増の382億4000万円、当期純利益は同1.1%増の237億0500万円。Windows XPのサポート切れなどの影響で前年に特需があったため、わずかながら前年を上回る結果となった。代表取締役社長である大塚裕司氏は、「連結、単体ともに微増収、微増益となった。わずかではあるものの、6期連続での増収増益となったことを素直に喜びたい」と述べ、前年を上回る業績となったことを前向きに評価した。

2015年12月期 決算の概要
代表取締役社長の大塚裕司氏

 今年度(2016年12月期)の連結見通しについては、売上高は前年比4.9%増の6390億円、営業利益は同7.2%増の400億円、経常利益は同5.9%増の405億円、当期純利益は同6.2%増の251億8000万円を見込む。「昨年度は最後に増収増益を守ることができた。この勢いをもって今年度も増収増益を実現したい」と連続での増収増益実現に強い意欲を見せた。

 大塚商会の昨年度のセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比2.5%減の3531億7000万円、サービス&サポート事業が同5.0%増の2554億9000万円、その他の事業が同1.1%増の3億8500万円。第3四半期まで厳しい状況が続いたシステムインテグレーション事業の売り上げを、ストックビジネスであるサービス&サポート事業がカバー。業績安定に寄与した。

 詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が前年比4.0%減の2698億6500万円、受託ソフト等が同2%減の374億2400万円、サプライが同6%増の1301億3700万円、保守等が同3%増の1221億4800万円。

 四半期別の売上高、経常利益の推移を見ると、第1四半期は売上高、経常利益ともに前年を下回ったものの、第2四半期以降は前年を上回り、増収増益を実現した。「連結、単体ともに第4四半期に高い伸びを記録した。もう少し上を狙いたいところではあったが、もうひとはね足りなかった」(大塚社長)。

 詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移を見ると、第1四半期は大きく前年を下回ったものの、第4四半期には全セグメントで回復基調となった。特にSI関連商品の売上高は、12.8%と2けた増となるまでに回復している。

詳細セグメント別の売上高
売上高の四半期推移
詳細セグメント別 売上高増減率の四半期推移

 重点戦略事業の売り上げは、「たのめーる」は前年比8.1%増の1391億600万円、「SMILE」は同10.2%減の104億7900万円、ドキュメントソリューションの「ODS21」は同6.0%増の461億9600万円、セキュリティソリューションの「OSM」は同17.7%増の598億3100万円。

重点戦略事業の状況

 重点ハードウェアの販売台数は、複写機が前年比10.7%増の4万1384台で、うちカラー複写機が同13.6%増の3万8391台。サーバーは同4.4%減の3万7718台、パソコンは同17.7%減の79万5646台、クライアント合計では同15.0%減の84万7320台。

 パソコンについては、「市場全体のパソコンの出荷台数が前年割れとなっていることから、『パソコン時代は終わった』という言い方をされるが、法人用クライアントで考えると、クラウド、Webの時代になってもクライアント機は必要。Windows 7のリプレース需要もスタートすることから、ビジネスシーンにおいてはクライアント機の需要ままだまだ伸びる。まだ、法人向けにはタブレットを生かしたソリューションが十分に提案できていない。タブレットの法人提案を含め、クライアント機の需要を取り込みたい」とタブレットを含め、需要はまだ大きいとの見方を示した。

 サーバーについては、「クラウド、仮想化の影響を受けて前年割れとなった。今後、台数をどう読むのかについて、継続的に見ていく必要がある」と厳しい見方を示した。
 その中で好調なのが複写機で、「まだ期待には届いていないが、特許をとった『らくらくマイナンバー』の入出力機としての複写機には大きな強みがある。否定的な声もあるものの、堅調に市場は伸びている」と複写機市場は今後も期待ができるとした。

パソコン販売台数の四半期推移
サーバー販売台数の四半期推移
複写機販売台数の四半期推移

 オフィス向け通販のたのめーるについては、「勢いが出てきた。依然として、新規顧客獲得エンジンとなっている」と売り上げの貢献とともに戦略事業となっていることを強調した。

 SI事業などの売り上げ減をカバーする原動力となったストックビジネスについては、「安定業績のもととなっている。今後も大切に育てていく」と強調。保守事業に加え、Webサービスなどストックビジネス全般を重要なビジネスだと説明した。

たのめーる年次推移
ストックビジネスの推移

2016年度は大幅の増収増益見込む

 2016年度の見通しとしては、売上高は前年度4.9%増の6390億円、営業利益は同7.2%増の400億円、経常利益は同5.9%増の405億円、当期純利益は同6.2%増の251億8000万円。

 セグメント別計画は、SI事業が5.0%増の3708億8000万円、サービス&サポート事業が4.8%増の2677億4000万円、その他の事業が1.5%減の3億8000万円。

売上高・利益の計画
セグメント別売上高計画

 目標としては、営業利益率、経常利益率ともに7%という目標を掲げているが、「現状では営業利益率は6.1%、経常利益率は6.3%にとどまっている。7%に近づいていくことができるよう、一歩ずつ進める」と確実に利益率を上げていくことを目指す。

 ビジネスの材料としては、攻めのIT投資による生産性向上ニーズの獲得、タブレット市場の拡大、Windows 10の無償期間終了にともなう更新の本格化、マイナンバー制度の運用本格化、軽減税率に向けた対応、電力自由化、企業のIT活用ニーズと省エネニーズなどをキーワードに、ビジネスを進める。

 「Windows 10は夏ごろに無償アップグレード期間が終了する予定で、これが無償化継続となるのか、終了となるのかなどは現在のところ未確定。しかし、このタイミングで需要が出てくるのではないか」と、クライアントマシンの入れ替えニーズが生まれるきっかけとなることを期待する。

 マイナンバー関連事業については、2015年度は営業を強化したものの、「企業側の需要が思ったほどなかったのに対し、らくらくマイナンバーの特許取得ができたことなどもあって、2015年10月ごろには営業的に先走りしすぎ、一度、ビジネスをストップさせている。ある程度の数は出ているが、思ったほど需要は出ていない。しかし、セキュリティ関連ビジネスの伸びが出ていることを見ると、マイナンバーの運用を進めていく中で、今後需要が出てくる可能性がある。じっくりとビジネスに取り組む」と長期的にビジネスに取り組む。

 また、以前から取り組んでいるワンストップのソリューション&サポートの提供、多店舗・多拠点企業への取り組み、LED関連事業などに取り組む。

マイナンバー関連のビジネス
ワンストップのソリューション&サポートの提供

三浦 優子