ニュース

大塚商会、2016年度中間決算は増収増益だが利益は計画値に届かず

 株式会社大塚商会は1日、2016年度(2016年12月期)の中間決算を発表した。連結売上高は、前年同期比6.5%増の3385億900万円、営業利益は同3.3%増の239億4400万円、経常利益は同3.7%増の245億6800万円、四半期純利益は同8.9%増の159億5900万円となった。

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が同6.9%増の2039億1900万円、サービス&サポート事業は同5.8%増の1343億8700万円、その他の事業は同13.5%増の2億200万円。

2016年1~6月 業績の概況
セグメント別売上高

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「売り上げは目標をクリアしたものの、営業利益、経常利益は目標には届かなかった」と上半期の結果を分析した。計画値には届かなかったものの、通期見通しは従来通り、売上高は前年比4.9%増の6390億円、営業利益は同7.2%増の400億円、経常利益は同5.9%増の405億円のまま変更しない。

代表取締役社長の大塚裕司氏

 下半期については、「世界経済、国内経済ともに先行き不透明感はあるものの、攻めのIT投資、生産性向上、コスト削減ニーズは依然として強い。また、Windows 7のプリインストール機の販売が終了し、10月末にはメーカー出荷が終了する。こうした特需が発生する可能性もある」(大塚社長)と好材料があるとアピールした。

 また、2015年4月から取り扱いを開始している光回線について、「現在は回線だけを販売しているが、この商材にからめたネットワークシステムの販売、ストックビジネスとして新しい事業の柱に育てたい」との方針を示した。

 大塚社長は上半期の連結売上高に対して、「4月~6月の業績だが、7月は大塚商会の創業月。その前月の6月は、3月に次いで売り上げが高い月となるのが通例だが、今期は6月末に英国のEU離脱が決まった影響もあってか、ラージアカウントのビジネスボリュームが盛り上がらなかった。もう少し6月末の売り上げが伸びれば、もう少し数字が固まったのではないか。少し物足りない結果となった」と6月の業績が予想ほど伸びなかったと指摘した。

売上高、利益の状況
売上高の四半期推移
2016年4~6月 業績の概況
4~6月 売上高、利益の状況

 連結子会社であるネットワールドは、取り扱い製品である「VMware」の取り扱い条件が変わり、保守がメーカーと直接契約となったことで、上半期売上高は378億8100万円だが連結収益にマイナスの影響を与えた。

連結子会社の概要

 また、単体の詳細セグメント別売上高では、「SI関連商品」が7.3%増の1571億6600万円、「受託ソフト等」が0.9%増の205億3900万円、「サプライ」が7.2%増の694億5700万円、「保守等」が4.5%増の634億900万円で、「受託を除いて堅調な結果となった。受託の伸びが重いのは、一昨年にSMILEなどの入れ替えが進み、それ以降、ビジネスが進んでいない」という。

 単体の詳細セグメント別売上高増減率四半期推移を見ると、「巡航速度で進んでいるとはいいつつも、若干下向き傾向にある」と説明した。

詳細セグメント別売上高
詳細セグメント別 売上高増減率の四半期推移

 重点戦略事業の概況は、「たのめーる」が前年同期比8.0%増の749億1300万円、「SMILE」が同11.6%減の52億9500万円、ドキュメントソリューション事業「ODS21」が同9.4%増の286億2000万円、セキュリティソリューション「OSM」が同20.1%増の362億2200万円。

重点戦略事業の状況

 複写機は同7.7%増の2万4007台で、このうちカラー複写機が同8.9%増の2万2446台。サーバーは同16.0%減の1万8425台、パソコンは同13.7%増の47万5781台。

 「SMILEは反省の気持ちが残るが、それ以外は堅調な伸びとなった。サーバーは仮想化、クラウドの影響でマイナス伸長が続くが、パソコンは高い伸長を見せている。企業向けクライアントに関しては手堅いビジネスが続いている。パソコンに関しては第3四半期には第1四半期、第2四半期の延長での伸びを、第4四半期については特需の影響もあって異なる傾向となるかもしれないが、伸長を期待したい」(大塚社長)。

 複写機については、「堅調に伸びている。要因としては、多拠点店舗でのオンデマンドプリントなどの需要がプラスに働いている。複写機はハードウェア販売にとどまらず、販売後にサプライ、保守がついていくる大塚商会にとって大事な商材であり、今後も強化していく」とストックビジネスの源泉となる事業だと説明した。

パソコン販売台数の四半期推移
複写機販売台数の四半期推移

 たのめーるについては、「昨年、コピー用紙の値上げがあり、その影響で特需があって、その影響で通常とは異なる状況となっている」という。また、西日本でのたのめーるの物流充実を狙いのひとつとして、「西日本物流センター」を8月下旬から稼働。たのめーる以外にもIT関連商材の西日本ハブとなる拠点で、延床面積4万6000平方メートルと旧センターの2倍のキャパシティを実現する。

たのめーる年次推移
最新物流センター

 下半期については、発表済みの計画の変更は行わず、営業利益率・経常利益率7%という目標も変更は行わない。「なかなかハードルが高い目標ではあるが、実現に向けて注力していく」(大塚社長)。

売上高・利益の計画
セグメント別売上高計画

 新たに注力する商材として、ストックビジネスにつながる光回線「たよれーるひかり」を販売し、「月次で着実に売り上げを積み上げていくとともに、光回線を導入した企業はデジタル化されることになるので、これをきっかけとした新しい提案を行う。企業を訪問すると、依然として10BASE-Tを利用している企業や、IPv6未導入企業が残っている。こうした企業向けに新しいネットワーク環境への移行を働きかけたい」とネットワーク関連ビジネスを強化のひとつとしてあげる。

ストックビジネスの推移
たよれーるひかり

 また、以前から進めている他店舗・多拠点をもつ企業向けの提案強化、節電対策ソリューションなども引き続き強化していく。

 1999年から提供しているWebサービスについても2016年6月時点で187万人が利用しており、「99年当時はASPと呼称していた。その後、呼び方は変わっているものの、ストックビジネスとして着実に積み上げている事業」となっているという。

多店舗・多拠点企業への展開強化
節電対策領域