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NEC、ベクトル型スーパーコンピューター「SX-ACE」が独キール大学、海洋学研究機関、計算センターで研究利用開始

 日本電気株式会社(NEC)は30日、ベクトル型スーパーコンピューター「SX-ACE」を、ドイツのキール大学、アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所、シュツットガルトハイパフォーマンス計算センターに納入し、SX-ACEを活用した本格的な研究が開始されたと発表した。

SX-ACE (最大8ラック構成の筐体)

 SX-ACEは、マルチコア型ベクトルCPUを搭載し、CPUコアあたり64GFLOPSの演算性能および64GB/秒のメモリ帯域を実現したベクトル型スーパーコンピューター。単一ラックあたりの性能は前機種に比べ10倍となるラック演算性能16TFLOPS、メモリ帯域16TB/秒で、科学技術計算や大規模データの高速処理を得意としている。

 キール大学では、SX-ACE 256ノード(最大理論性能65.5TFLOPS)を導入。地球温暖化に伴う海洋気候の変化などのモデル計算に利用する。

キール大学による高解像度全球海洋シミュレーション(海洋表面における流速を表現。ORCA3重極格子を使用)

 ドイツ研究センターヘルムホルツ協会の1つであるアルフレッドウェゲナー極地海洋研究所では、SX-ACE 32ノード(最大理論性能8.2TFLOPS)を導入。カップリング地球システムモデルによる古気候、海氷の生成・消滅、地球規模あるいは地域レベルでの気候変化との相互作用の数値モデリングなどに利用する。

異なる二酸化炭素濃度に対して計算したグリーンランド氷床の厚さ(アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所)

 研究機関や民間企業に幅広く計算リソースを提供し、高性能計算に関する欧州有数の拠点でもあるシュツットガルトハイパフォーマンス計算センターでは、SX-ACE 64ノード(最大理論性能16.4TFLOPS)を導入。自動車設計向けの流体シミュレーションや、新規素材開発に必要な計算物理モデリング、創薬やバイオインフォマティクスの基礎をなす計算化学などの研究開発、産業応用に活用する。

三柳 英樹