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富士通、30年以上にわたり培ってきたAI技術を「Zinrai」として体系化、商品・サービスへの実装を開始

 富士通株式会社は2日、AI(人工知能)に関する知見や技術を「Human Centric AI Zinrai」(以下、Zinrai)として体系化し、各種商品・サービスへの実装を開始すると発表した。

 富士通グループでは、株式会社富士通研究所が中心となって、1980年代から継続的にAIの実用化に向けた研究開発に取り組んできており、今回、これまでに培ったAIの知見や技術を「Zinrai」として体系化した。

 Zinraiは、先端研究から得た知見やノウハウをベースに、「知覚・認識」「知識化」「判断・支援」の3つの要素と、それらを高度化し成長させる学習機能で構成される。

 「知覚・認識」は、人のように五感を駆使し、人の感情・気付き・気配りまでも処理する感性メディア技術で、振り込め詐欺検知や、「人の気持ち理解」による顧客対応サービスの向上と自動化などに適用できる。

 「知識化」は、人が理解する知識のみならず、機械処理できる知識を創り出す技術で、診療時の意思決定支援や、金融監督業務の改善などに適用できる。

 「判断・支援」は、スーパーコンピュータをも活用して社会やビジネス上の課題を数理的に解決する技術で、空港における混雑緩和や、津波浸水シミュレーターなどに適用できる。

 富士通グループでは、今後、様々な商品・サービスにZinraiを実装していく予定で、クラウド環境およびオンプレミス環境でAIを利用できるようにしていくとしている。

 また、新サービスとしては、PoC(Proof of Concept)やPoB(Proof of Business)を通じて、顧客とのイノベーション共創を実現する「AI活用コンサルティングサービス」を提供する。富士通のAI専任コンサルタントが顧客の経営課題やニーズなどをヒアリングし、Zinraiの技術をもとに最適なAI活用シナリオを立案する。

 サービスの提供にあたり、富士通では11月1日付でグループのAI関連研究者や技術者、キュレーターなど200名を統括する新組織として「AI活用コンサルティング部」を設立。今後、AIビジネスの成長に合わせて継続的に体制を拡大していく。

 また、ビッグデータ利活用ソリューション「ODMA」においては、Zinraiの構成要素である機械学習機能を実装し、機器やサービスの異常予兆を高精度で検知する「ODMA 予兆監視」の開発を進めている。同ソリューションの適用により、IoT技術を活用した工場やプラントの設備保全を自律化し、運用継続性をさらに向上させるなど、業務の効率化を強力に支援する。ODMAでは、継続的にZinraiを実装したソリューションを提供するとともに、さらなるAIの導入範囲拡大に向け商品を強化していくとしている。

三柳 英樹