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フォーティネット、クラウド型のセキュア無線LANソリューションを発表

クラウドで管理可能なアクセスポイントとコントローラを日本市場に投入

フォーティネットジャパン プロダクトマーケティング部の田中愁子氏

 フォーティネットジャパン株式会社(以下、フォーティネット)は20日、エンタープライズ向けクラウド型セキュア無線LANソリューションとして、セキュリティ機能を搭載したクラウド連携型アクセスポイント「FortiAP-Sシリーズ」の新製品「FortiAP-S321C」と、アクセスポイントをクラウドで管理する無線LANコントローラ「FortiCloud AP Network」を日本市場で展開すると発表した。

 今回発表した「FortiAP-Sシリーズ」と「FortiCloud AP Network」は、同社のセキュア無線LANソリューションのポートフォリオに、新たにクラウド対応のソリューションを拡充するもの。フォーティネット プロダクトマーケティング部の田中愁子氏は、「当社ではこれまで、無線LANソリューションとして、無線LANコントローラ『FortiGate』およびアクセスポイント『FortiAP』を展開してきた。今回、このラインアップを強化・拡充し、無線LANコントローラとアクセスポイントそれぞれにクラウド対応のソリューションを追加する。これによって、クラウド管理型の無線LAN環境を容易に構築することが可能になる」と説明している。

 「FortiAP-Sシリーズ」は、クラウド連携に対応したことに加え、アクセスポイント本体に、IPS、アンチウイルス、Webフィルタリング、アプリケーション制御などの総合的なセキュリティ機能を内蔵している点が大きな特徴。アクセスポイントが直接「FortiGuard Labs」と自動連携することで、最新の脅威からすべてのユーザーとデバイスを保護する。「他社のクラウド型アクセスポイントは、ユーザー認証が終わると、すぐにLANに接続される。これに対して『FortiAP-Sシリーズ』は、ユーザー認証の後に、IPS、URLフィルタリング、L7アプリケーション制御、A/Vスキャニングなどをリアルタイムに実施し、安全と判断されたデータ通信のみをLANに接続する」(田中氏)と、アクセスポイント本体の機能で無線LAN環境のセキュリティをより強固にすることができるという。

FortiAP-Sシリーズの新製品「FortiAP-S321C」
他社のクラウド型無線LANアクセスポイントと「FortiAP-Sシリーズ」の違い

 また、リアルタイムでのセキュリティ処理を実現するため、「FortiAP-Sシリーズ」では、増設メモリとデュアルコアプロセッサを搭載したハードウェアを採用。12月下旬から出荷開始予定の新製品「FortiAP-S321C」は、壁掛けおよび天井設置に対応し、IEEE 802.11a/b/g/n/acをサポートしたデュアルRadioの3ストリーム対応アクセスポイントとなっている。5GHzでは最大1.3Gbpsのアソシエーションレートを実現する。

 「FortiCloud AP Network」は、エンタープライズ向け無線LANコントローラ機能をクラウドサービスとして提供するもの。同サービスは、接続するアクセスポイント数や拠点数にかかわらず無償で提供され、FortiAP バージョン5.2.2以上のすべてのアクセスポイントを管理することができる。また、ユーザー認証方式は、802.1x認証、Webキャプティブポータル認証、PSKをサポートし、登録するユーザー数にかかわらずユーザー認証サーバー機能も無償で提供するという。このため、ユーザー認証サーバーがないユーザーでも安価にセキュアな無線LANネットワークを構築することができる。

 管理機能としては、アクセスポイントの稼働状況、ユーザーの通信状況、無線LANの干渉状況や無線LANの利用傾向などをWebブラウザから一元的に確認することが可能で、レポーティング機能も備えている。また、不正アクセスポイントの検知など、PCI DSSコンプライアンスに関する簡易レポートの作成も可能となっている。なお、「FortiAP-Sシリーズ」のアクセスポイントと連携した場合には、アンチウイルス、ボットネット、Webアクセス、不正侵入検知などの各種セキュリティログも管理することができる。

 さらに、アクセスポイントの一括リモート設定機能「FortiDeploy」を利用することで、分散した拠点への大規模な無線LAN適用を迅速に行うことが可能。また、「マスターアカウント」によるシステム管理者の階層化を行うことで、マルチテナント環境でも利用することができる。

 「FortiCloud AP Network」の日本専用サーバーでの提供開始は、2016年第2四半期(4~6月)を予定している。

「FortiCloud AP Network」の管理画面

 田中氏は、「『FortiAP-Sシリーズ』と『FortiCloud AP Network』がラインアップに加わることで、ユーザーの利用シーンや導入フェイズに合わせて柔軟な無線LAN環境を提案できるようになった。例えば、小規模の拠点では、『FortiCloud AP Network』と『FortiAP』を利用することで、低コストで無線LAN環境を実現できる。よりセキュアな環境が求められるケースでは、アクセスポイントに『FortiAP-S』を活用する。そして、大規模拠点では、『FortiGate』と『FortiAP-S』を組み合わせ、高機能かつ強固なセキュリティを備えた無線LANを構築できる」と、クラウド型無線LANソリューションの投入によって、さらに幅広い無線LANニーズに対応していくと意欲を見せた。

フォーティネットの無線LANソリューションポートフォリオ

唐沢 正和