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川崎重工、SAP CRMでカンパニー向け顧客情報管理システムサービス基盤を構築

ユーザーインターフェイスにはSAP Fioriを導入

 SAPジャパン株式会社は30日、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)が、SAPが提供するSAP CRM、モバイルソリューション、SAP Fioriを活用した顧客情報管理システムサービス基盤を構築したと発表した。

 川崎重工では従来、主にExcelを用いた案件管理を行っていたが、営業案件数の増加などに伴い、日報作成作業の負担増やタイムリーな情報共有が課題になっていたという。しかし今回、同社が進めている中期経営計画の実現に向け、業務効率化や生産性向上を目的に、新たに顧客情報管理システムを導入することにした。

 SAP CRMの導入により、情報入力作業の負荷軽減、レポートの自動生成、情報の一元管理を実現しており、生産性の向上、情報鮮度の維持、過去の情報を踏まえた適切な顧客対応を行えるようなったという。

 また、UI製品のSAP Fioriにより、モバイル端末からのCRMシステムのアクセスに対応。新システムでは、PC、タブレット、スマートフォンなど、あらゆる端末からCRMへとアクセスできるため、外出先や移動中でも業務を行えるようになり、利用部門の生産性向上が期待できるとした。この導入にあたっては、SAP Fioriが無償であること、既存システムと親和性が高いこと、拡張が容易であることにより、低コストかつ短期間での導入を達成している。

 なお川崎重工では、7つのカンパニーごとに必要となる管理項目が異なっているとのことで、導入費用を抑えるとともに運用負荷を軽減する目的で、本社の情報システム部門が基盤となるシステムを構築し、各カンパニーに対しサービスとして提供する方式を採用している。

 システム構築は、川崎重工の情報システム子会社、ベニックソリューション株式会社が開発サポートを担当し、2014年4月にSAP CRMの環境構築を開始。SAP FioriでのUI構築は初期開発の必要がないため約3カ月での導入が実現した。同年10月には環境構築が完了し、11月から一部のパイロットカンパニーを対象にサービスの試験運用をスタートさせている。

 2015年8月からは、精密機械カンパニーのロボットビジネスセンター向けサービスも試験運用を開始予定で、将来的には、他のカンパニーや部門への導入展開も視野に入れている。さらにSAP Fioriについては、ERPをはじめ、他のSAPシステムや他社製システムのUIにも採用する方向で検討しており、この実現に向けた向けてモバイル基盤(SAP Mobile Platform)の構築を実施しているとのことだ。

石井 一志