ニュース

日立の2015年度第1四半期連結決算は増収増益、純利益は31%増

 株式会社日立製作所(以下、日立)は29日、2015年度第1四半期(2015年4月~6月)の連結業績を発表した。

 売上収益は前年同期比6.9%増の2兆3140億円、税引前利益は同23.2%増の1426億円、当期純利益は同31.3%増の549億円となった。

 なお、2015年度から日立グループ全体でIFRSを適用している。

 日立 中村豊明代表執行役副社長兼CFOは、「売上収益は、為替影響を除くと1%増。第1四半期としては過去最高を記録した。情報・通信システム、高機能材料、社会・産業システム、オートモーティブシステムなど、7部門で前年同期を上回った」などと総括した。

 調整後営業利益においては、売価下落で260億円、事業開発投資で100億円、人件費および償却費で200億円のマイナスが発生したが、プラス要因として、為替影響で100億円、事業規模増加で50億円、原価低減などで440億円の効果があった。また、Hitachi Smart Transformation Projectの効果として、200億円のプラス効果があったという。

 「中国市場の鈍化、通信キャリアの投資抑制があった。こうした環境化でも、Smart Transformation Projectの効果で増益を達成できた」とした。

日立 中村豊明代表執行役副社長兼CFO

 国内売上収益は前年同期比2%減の1兆1189億円、海外売上収益が同12%増の1兆1950億円。海外売上比率は前年同期に比べて3ポイント増加し、過半数となる52%になった。「初めて50%を突破。中期経営計画で目指した50%を超えた」とした。

 特に、北米の売上収益は、前年同期比42%増の3220億円となった。「情報・通信、日立金属、オートモーティブがけん引した。米Waupaca Foundry(ワウパカ・ファウンドリー)の買収効果もあり、北米の構成比が14%となり、中国の12%を超え、もっとも高い比率となった」という。

国内・海外売上収益

 事業グループ別における情報・通信システムの売上収益は、前年同期比7%増の6203億円、調整後営業利益は前年同期から31億円増の159億円、EBITは同13億円増の153億円となった。

 情報・通信システム事業の事業部門売上収益は前年同期比7%増の4515億円、調整後営業利益は前年同期から2億円増の89億円。そのうち、システムソリューションの売上収益は前年同期比6%増の2718億円、調整後営業利益は86億円増の67億円。プラットフォームの売上収益は同4%増の2319億円、調整後営業利益が56億円減の14億円となった。

 また、ストレージソリューション事業の売上収益は、前年同期比13%増の1170億円となった。

 公共システムや金融システムを中心としたシステムソリューション事業が好調に推移。ストレージソリューション事業が為替影響により増収となったことで売上収益が拡大。だが、プラットフォーム事業が通信ネットワーク分野における国内通信事業者の設備抑制の影響により減益。ビッグデータ関連事業などの成長分野への投資を拡大したことで、EBITが減少したという。

 さらに、情報・通信システム部門における「2015 中期経営計画」の推進状況についても説明。「2015年5月に、日立データシステムズによるペンタホの買収により、データ分析関連の製品やサービスを、日立グループ内のビッグデータ利活用基盤として活用。また、プライベートクラウドをANAの新たなITインフラ環境として提供を開始した。さらに、マイナンバー制度対応に向けたセキュアなBPOサービスを販売開始。通信ネットワーク事業などの国内プラットフォーム事業において、コスト削減や人員の最適配置などの構造改革を加速した」と述べた。

 また、事業グループ別の業績では、電力・インフラシステムの売上収益は前年同期比7%増の8981億円、調整後営業利益は52億円増の335億円。建設機械は売上収益が前年同期比6%減の1773億円、調整後営業利益は76億円減の50億円。高機能材料の売上収益は前年同期比17%増の4026億円、調整後営業利益は41億円増の312億円。オートモーティブシステムの売上収益は前年同期比10%増の2411億円、調整後営業利益は1億円増の108億円。金融サービスの売上収益は前年同期比4%増の907億円、調整後営業利益は32億円増の121億円となった。

事業グループ別の収益

 なお、2015年度は、「2015 中期経営計画」の最終年度に当たる。

 2015年度の通期見通しは、売上収益が前年比1.8%増の9兆9500億円、税引前利益は同15.6%増の6000億円、当期純利益は同42.5%増の3100億円を見込んでいる。今回の業績発表では、通期および半期見ともに期初見通しを据え置いた。

通期の業績見通し

大河原 克行