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パルスセキュア、新体制での第一弾製品SSL-VPNアプライアンス製品を9月に発売

Juniper NetworksのSSL-VPN事業を継承

 米Pulse Secure LLC.は28日、日本法人「パルスセキュアジャパン株式会社」を設立すると発表した。2015年9月から、SSL-VPNアプライアンス製品「Pulse Secure Appliance」を日本で販売する。

 Pulse Secureは2014年10月に米Juniper Networks(以下、Juniper)のSSL-VPN事業が投資会社に事業譲渡されたことを受け、新たに誕生した。

 Juniper時代から製品開発にかかわっていたエンジニア、サポート担当者など200人が参加し、新たなメンバーを加え350人体制で事業をスタート。新体制で提供する製品については、「従来は個々にハードウェアをそろえる必要があったが、今回はマルチサービスアプライアンスとして製品を提供し、パフォーマンスも従来の3倍を実現する」(Pulse Secure プロダクト・ソリューション担当シニアディレクターのダン・デアリング氏)ことが、従来製品にない強みとする。

 また、従来のコンフィグを活用できることから、新たな学習が不要で、アプライアンスの強みを生かして容易に展開可能、BYOD機器も企業ネットワークに接続して問題のないセキュリティを実現、といった製品特徴を持っている。

Pulse Secureについて
Pulse Secure プロダクト・ソリューション担当シニアディレクターのダン・デアリング氏

 日本法人はジュニパー時代のディストリビューターパートナーを継承し、ビジネスをスタート。今後は日本向けサービスチャネル・プログラムの拡充、モバイル・セキュアアクセス市場への参入など行っていく方針だ。なお、事業譲渡後7月31日まではJuniperとの間での移行契約期間となっていたが、8月1日から、独立した企業として本格的に活動を開始することとなった。

 「Juniper時代から日本は重要な市場。APAC全売り上げのうち、40%が日本からの売り上げとなっていた。新体制となったあとも、日本でのビジネスは引き続き強化し、取り組んでいく」(Pulse Secure パートナー戦略担当バイスプレジデントのダグ・エリクソン氏)。

 新体制となったPulse Secureの強みについて、同社 マーケティング担当バイスプレジデントのクリス・ロッケル氏は次のように説明する。

 「強みのポイントは、セキュアアクセスのためのコアなビルディングブロックを提供するベンダーであり、独立後はモバイルへのセキュアアクセス製品を獲得するなど、強力なポートフォリオを持っていることが1点目。さらにユーザーエクスペリエンスの簡素化と、事業を開始して15年、2万以上の導入実績を持つ信頼性が当社の強みだ」。

 ただし、IT活用においてクラウドの利用、モバイルデバイスの増加、IoT対応といった新たな課題が誕生していることから、「パフォーマンスとスケールを強化し、集中管理で簡単なコントロールを実現。さらに、サービスの導入が容易で、データをコンテナ化して安全性を確保するといった次世代セキュアアクセスを提供していくことが、新体制後のビジョンとなっている」(ロッケル氏)というスタンスで新製品を提供する。

Pulse Secureの製品
Pulse Secure マーケティング担当バイスプレジデントのクリス・ロッケル氏

 新製品のPulse Secure Applianceシリーズは、Pulse Connect Secure、Pulse Policy Secure対応のマルチサービスアプライアンス。エンタープライズサービス向けの信頼性の高いアクセスセキュリティによる、高いパフォーマンススループットを実現する。運用スケールの集中管理により、難しい設定なしで簡単に構成、インストール、展開を実行する。

 アプライアンスは、同時セッション数が200までの小規模オフィス向け「PSA300」、ラックマウント型で同時セッション数200、HDDが500GBの「PSA3000」、スケーラブルな環境での利用を想定した同時アクセス数2500までの「PSA5000」、同時アクセス数2万5000から3万5000、RAID構成で、SSLのアクセラレーションが可能な「PSA7000c」、「PSA7000f」の4種類を用意した。

 最大スループットは、PSA3000が200Mbps、PSA5000が1Gbps、PSA7000が10Gbps。このパフォーマンスに加え、高度なモビリティ向けの統合BYODコンテナ、アプリごとのVPNでモバイルユーザーのエクスペリエンスを最適化、リライト機能によって対策が不十分なアプリをサポート、SAMLサポートによりクラウドサービスとデータセンターアプリを融合といった機能を実現している。

 「このパフォーマンスと機能を持つことで、企業は社員が望むデバイスを安全に利用することができる環境を提供できることになる」(デアリング氏)。中小企業に対しては次世代モビリティの実現を、中堅から大企業に対してはセキュアアクセスの簡素化をセールスポイントとしてアピールしていく。

Pulse Secure Applianceシリーズ

 なお日本法人については、日本ラディシスの代表取締役をつとめていた奥村康弘氏が、9月から代表として運営を行っていく予定となっている。

 「製品の強みとしては、VMware、KVMなどをサポートし、バーチャルアプライアンスとしての活用できる点。また、一元的な可視性を持つPulse Oneというソフトウェアによってアプライアンスの統合管理を実現する。今後、BYODでスマートフォン、タブレットが導入される際のセキュリティ確保、一元的な管理を実現するパルスポリシーセキュアといったところがビジネスのポイントとなるだろう。2016年にSSL-VPN分野で、シェア50%以上を獲得できるよう、日本でのビジネスを強化していく」(奥村氏)。

 当面、日本法人は3人体制で、ビジネスを展開していく。

パルスセキュアジャパン カントリーマネージャの奥村康弘氏

三浦 優子