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富士通テンが“タクシー配車クラウド”提供、車両配置の分析機能も

 富士通テン株式会社は25日、「クラウド型タクシー配車システム」を開発したと発表した。販売子会社の富士通テン販売株式会社を通じて6月1日から販売する。

 クラウド型タクシー配車システムは、同社が2014年秋に発表した、「人」「クルマ」「社会」のデータをつなぎ合わせて顧客一人一人に合わせた新たな価値を提供する車載情報機器・サービスコンセプト「Future Link」を具現化したもの。

 配車管理機能をクラウドセンターに集約することで、タクシー会社ごとに所有していた専用サーバーなしで導入できるほか、24時間の保守体制で迅速な障害対応を実現するのが特長で、データベースの管理やソフトのバージョンアップもクラウド側で実施されるため、タクシー会社は煩雑な作業から解放される。

クラウド型タクシー配車システム

 使用する地図データベースも自動更新されるため、常に最新データを利用した配車が可能。さらに富士通の位置情報を活用したクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL(以下、SPATIOWL)」と連携。気象情報や鉄道の運行情報、イベント開催情報など位置にひも付いたデータを用いて、タクシー需要予測に役立つ情報を分析することで、計画的車両配置や効率的な流し運行を実現するという。SPATIOWL連携は、2015年秋頃から順次サービス開始予定。

 なお、タクシーと配車センターをつなぐ通信手段は、クラウド型タクシー配車システムでは日本で初めて(2015年3月現在、富士通テン調べ)、専用電波を使用する「デジタル無線」と携帯電話網を使用する「IP無線」の両方に対応している。

 従来のタクシー配車システムでは、専用サーバーを各社で所有する必要があり、導入・保守にかかるコストがタクシー会社の負担となっていた。また、国内のタクシー無線は、2016年にデジタル無線に完全移行される予定で、切替が未完了のタクシーが2割(約4万台)残されているという。富士通テンは新サービスでタクシー無線のデジタル化への移行を支援する考え。

 価格(税別)は、システム導入費が約500万円(無線基地局設備、車載機器は除く)、クラウド使用料が月額10万円。車両台数、受付・配車用パソコンの数、使用ソフトなどの構成により価格は異なる。

主要システム構成

川島 弘之