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日本IBMのスタートアップ支援「BlueHub」第2期が幕開け、経産省とも連携

日本IBM 理事 マーケティング&コミュニケーションズ パフォーマンス・マーケティング Catherine Solazzo氏

 日本IBMは19日、昨年9月に同社が開始したスタートアップ企業を支援するインキュベーションプログラム「IBM BlueHub」第1期の成果について説明。また、第2期を開始すると発表した。

 IBM BlueHubは、IBMがスタートアップ企業に対し、テクノロジーやコンサルティング、マーケティングなどに関する支援を提供するとともに、インキュベーションの実績があるパートナー企業が、スキルや事業を加速させるノウハウ、オフィスとして利用できるシェアードスペースなどを提供するというもの。

 第1期のBlueHubでは、テーマをビッグデータと設定。インキュベーションする企業として、スポーツマネジメントアプリを提供するLink Sports、消費者向け大規模ゲノム解析サービスを提供するジーンクエスト、画像認識技術によるソーシャルメディア分析ツールを提供するBrand Pit、リコメンド型農業ERPによって新たな農業を提案するテラスマイル、登山中など電波の届かない状況でも位置確認ができるアプリを提供するセフリの5社を選定した。その後、メンターと共同で支援したのち、成果発表の場となる「Demo Day」を開催。Demo Dayの審査の結果、19日に開催された日本IBM主催のイベント「IBM XCITE SPRING 2015」にて、最優秀スタートアップとしてテラスマイルを表彰した。

【左】最優秀スタートアップに選ばれたテラスマイル 代表取締役の生駒祐一氏と、【右】日本IBM 理事のCatherine Solazzo氏(写真提供:日本IBM)

 日本IBM 理事 マーケティング&コミュニケーションズ パフォーマンス・マーケティングのCatherine Solazzo氏は、IBMがスタートアップを支援する理由について、「日本の未来は新たなイノベーションにかかっている。そのためにも、そのイノベーションを支援する企業の存在は重要。イノベーションのコアはテクノロジーで、IBMはテクノロジーや専門性でスタートアップをサポートし、事業を成長させるための支援ができると考えた」と話す。その一方で、こうした企業がIBMのクライアントとなることを視野に入れているのかとの問いには、「もちろんスタートアップがIBMのクライアントになってほしいとは思うが、IBM自身もこうしたすばらしいイノベーションやアイデアを持つ企業から学べることが本当のバリューだ」と述べた。

 第2期では、新テーマとしてIoTなどの先進的なソリューションで起業を目指すスタートアップを5社選定するという。6月にはインキュベーションの対象となる企業を発表し、7月から6カ月間に渡り、クラウドアプリ開発プラットフォームの「IBM Bluemix」を無償提供するなどさまざまな支援を行う。2016年3月には再びDemo Dayを開催し、XCITEにて最優秀スタートアップを発表する予定だ。

IBM BlueHub第2期について

 パートナーとしては、第1期よりサムライインキュベートツクルバが協力しており、第2期も引き続きスタートアップ企業の支援を継続する。また、第2期ではパートナーを拡大。新たにサイバーエージェント・クラウドファンディングが、同社のクラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」にてプロジェクトを掲載、支援するほか、経済産業省もパートナーとして政府の成長戦略や経済政策との連携を支援する。

第2期ではパートナーを拡大する

 Solazzo氏は、「経済産業省がパートナーとして加わることで、メンターやスポンサーといった面で支援が受けられるほか、BlueHubでもスタートアップに対し、政府の方針に沿ったサポートや戦略が提案できるようになる」と述べている。

 さらに、新規株式公開に向けた支援も視野に入れ、インベストメントパートナーとも交渉中で、「近日中にはどういったパートナーと組むのか発表できる」(Solazzo氏)という。

サムライインキュベート 代表取締役CEO 榊原健太郎氏

 パートナーとしてインキュベーションに参加したサムライインキュベート 代表取締役CEOの榊原健太郎氏は、「われわれがスタートアップを支援するのは、IBMと共に世界を席巻するような企業やサービスを生み出したいと考えているためだ。第1期で支援したセフリは、著名なベンチャーキャピタルが開催したイベントでも優勝するなど、すでに実績を残している。第2期もIBMと共に結果を出していきたい」と述べた。

藤本 京子