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オラクルのエンジニアド・システムを月額料金で、「Oracle IaaS Private Cloud」国内提供

ティム・シェトラー氏

 日本オラクルは9日、日本国内において「Oracle IaaS Private Cloud」のサービスを開始した。

 同クラウドサービスでは、「Oracle Exadata Database Machine」、「Oracle Exalogic Elastic Cloud」、「Oracle Exalytics In-Memory Machine」、「Oracle SuperCluster」、「Oracle Big Data Appliance」の5種類のエンジニアド・システムをサービスとして提供。「クラウドの実行基盤に最適なオラクルのエンジニアド・システムを採用することになり、顧客企業と、パートナー企業に対して、コスト効果の高い柔軟なクラウド基盤を提供することができる」(米Oracle・コーポレーション プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのティム・シェトラー氏)とした。

 エンジニアド・システムのハードウェア、サポートを月額料金で提供。「ExaDataの4分の1ラックを例にあげると、オンプレミスの導入では初期費用として30万ドルかかり、さらに毎月のサポート費用がかかる。だが、Oracle IaaS Private Cloudでは、月額1万ドルで利用でき、そのなかにサポート費用も含まれる。最低3年間での利用が可能であり、その後延長手続きしてそのまま利用するという選択のほかに、新たなサブスクリプションに変更することもできる。顧客にとっては、予算化が容易になり、毎月のコストを同じにすることができる。さらにExadataソフトウェアもサブスクリプション化が可能になる。そして、オラクルが所有権を持つため、固定資産計上が不要。利用料金は会計上、費用として計上できるというメリットがある」と、コスト面や会計上のメリットを強調した。

 同サービスでは、月単位のレンタル方式で採用することになり、オンプレミスまたはパートナーのデータセンターでのホスティングで運用。総資産利益率の改善が図れるという。最低で3年利用の契約となり、5年の長期利用もできる。

 また、CPUを柔軟に追加できるCapacity on Demand(CoD)と呼ぶ仕組みを導入。全体のコアの20%をピーク時の可用性のために保持し、CoDコアがアクティベートされるまではコストが不要になることから、利用者にとってのコストメリットがあるという。「最初から20%のディスカウントが行われているのと同じ仕組み。これも投資コストを引き下げることができる」という。

エンジニアド・システムを月額利用
顧客のメリット

 シェトラー氏は、同サービスの信頼性についても言及。「オラクルは、インテグレーテッドプラットフォーム市場において、40%のシェアを持ち、2位のIBMの10%のシェアに比べて4倍の規模になり、圧倒的なリーダーとなっている。Oracle Exadata Database Machineは、X5によって大きな進化を遂げるとともに、すべてのシステムをオラクルが提供しているのが特徴である。数1000件にのぼる企業でミッションクリティカルな領域で稼働している。銀行では上位10行のうち9行、小売業者10社のうち7社、通信会社上位10社のうち10社がExaDataを導入しており、こうした実績をもとに今回のサービスを提供することになる」とした。

 サポートサービスである「PlatinumおよびPlatinumPlus Services」を提供。これにより、パフォーマンスの最適化を支援。障害監視やパッチ適用を行い、SLAを高めることができるとしている。

山本恭典氏

 一方、オラクル 執行役員 データベース事業統括 製品戦略事業統括本部兼システム事業統括 ソリューション・プロダクト統括本部の山本恭典氏は、「今回のサービスでは、Exadata Database Machineを提供しながらも、IaaS Private Cloudという名称にしたのは、ExaDataのハードウェア資産をサービスとして提供するため」と前置きし、「日本の顧客からは、データセンターを自社保有したくない、あるいは開発や検証に使う場合には自ら資産を持つのではなくスモールスタートしたい、低コストで活用したい、プライベートクラウドと連携したいという要望が出ている。一方で、パートナー企業からは、1台のExaDataを活用した共同利用を提案が可能になり、パートナーのデータセンターを活用して、1台のExaDataから複数のユーザーにサービスを提供できる。さらに、ISVベンダーも固定資産を持たずに、ExaDataを活用したサービス提供が可能になる」とした。

 日本国内では、アシスト、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTデータ先端技術、新日鉄住金ソリューションズ、ソフトバンクモバイル、TIS、東芝、東芝ソリューション、富士通北陸システムズが、Oracle IaaS Private Cloud賛同各社として、同サービスを提供することになる。

国内展開
パートナーのデータセンターを活用しExadataをサービス利用
Exadataの開発・検証環境を低コストで準備
複数の顧客に向けたサービス提供

大河原 克行