アパレル大手のオンワード樫山、基幹システムをSAP＆AWSで刷新

　株式会社野村総合研究所（以下、NRI）が全面的な再設計と構築を担当した、株式会社オンワード樫山の基幹システムが、3月1日から稼働開始した。

　大手アパレル会社であるオンワード樫山では、これまでホストコンピューターを中心とした自社システムを運用していたが、システム構造の複雑化が進み、各種制度変更に伴う運用・改修の負荷が課題となっていた。そこで基幹システムの刷新を2012年から進めてきた。

　新たな基幹システムは、SAPジャパンのアパレル業界向けERP「SAP Apparel and Footwear Solution（以下、SAP AFS）」を業務機能の中核に据え、「Amazon Web Services（AWS）」をシステム基盤として採用している。

オンワード樫山における基幹システムの概念図（今回刷新した全体イメージ）

　基盤にAWSを採用することで、これまでのオンプレミス型のシステムと比べ、処理性能を容易に拡張できるスケーラビリティ、複数の異なるデータセンター群を利用した災害対策、ハードウェアの老朽化に伴う対応の削減を実現した。

　NRIが経理・計数およびマスタ管理システムへのSAP AFSの導入を行い、物流・情報分析システムとシステム基盤の設計・構築、およびプロジェクトの全体統括を担当。AWSの適用にあたっては十分な期間をかけてPoC（概念実証）を行い、信頼性・セキュリティ・拡張性・性能など求める要件を問題なく充足することを確認したという。

　なお、今回の基盤では、SAPの性能指標である「SAPS値」で合計10万以上となる処理性能を実現。SAPS値とは、SAPを稼働させる環境下でスループットを測定するための単位で、今回の値はSAPジャパンがこれまでに提供してきた案件の中で最も高い水準。「AWS上でのSAP事例として世界最高の処理性能を達成した」（2015年3月31日現在、SAPジャパン調べ）としている。

　運用管理には、NRIの「Senju Operation Conductor」を導入し、システム全体の運用の可視化と自動化を実現。NRIセキュアが提供するアクセス制御・管理ツール「SecureCube/Access Check」も適用し、セキュリティ統制やサイバー攻撃対策などを図った。併せて、NRIのデータセンターからAWS上のシステム基盤およびアプリケーションに対して、24時間365日のシステム運用・監視を行っているという。