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バイタルを収集する“IoT衣服”活用、大林組が作業員の熱中症対策へ

NTT Comと実証実験に着手

hitoeを活用したウェアラブルセンサーの試作品

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と株式会社大林組は、建設就労者が安全に働ける環境をめざし、機能素材「hitoe」を用いた衣服によるIoT技術を活用した作業員向け安全管理システムの有用性を実証すべく、4月から本格的な実験を開始する。

 建設就労者の熱中症対策をはじめとした健康管理が主な目的。屋外作業が続く夏の作業環境は非常に厳しく、作業員の高齢化も進んでいることから、作業員の体調を管理する取り組みが必須となっている。

 大林組では、熱中症を予防するために「暑さ指数(WBST)」を計測して管理しているが、個々の作業員の体力・体調の違いから熱中症事故の根絶は難しく、作業員ごとの心拍数などをリアルタイムに把握することが、解決の糸口として期待されているという。

 今回、クラウド型の安全管理システムを開発したNTT Comと共同で、実際の建設現場で作業員の心拍数といったバイタルデータをリアルタイムに取得し、モニタリングすることの有用性について実証実験を行う。

 すべての作業員の体調をリアルタイムに把握・分析し、かつ事故を防止するためには、(1)作業中のバイタルデータを長時間継続してモニタリングする、(2)複数の作業員を同時にモニタリングする、(3)バイタルデータを解析し、その結果に応じてリアルタイムに通知する、という3つの技術要件が必要という。

 すでに(1)については2015年2月に実証実験を実施。「hitoe」を使い、作業員のバイタルデータを8時間以上にわたり継続取得した結果、長時間のバイタルモニタリングに成功している。

 4月からは(2)と(3)を検証する。この確認には、作業者の体調をモニタリングするウェアラブルセンサーのほか、複数の作業員のバイタルデータを分析するシステムが必要となる。センサーには引き続き「hitoe」を使用し、NTT Comのクラウド型安全管理システムを連携。従来の安全管理手法と安全管理システムの検証を行い、より安全・合理的・経済的な管理体制づくりに向けて、建設現場用のカスタマイズ項目の抽出や、耐久性、操作性などを確認する。

 同時に、安全管理システムに対する外部からの攻撃・侵入を防ぐセキュアな通信環境、各推定技術の精度向上に関する検証、実際の作業環境における操作性・使いやすさも確認するという。

安全管理システムイメージ図

 その後も両社連携の下、NTT Comはクラウドと連携したヒューマンセンシングシステムの拡張開発や利用拡大に向けて積極的に取り組む方針。また、大林組はバイタルデータなどの活用により作業員ならびに従業員にとって、より安全な作業環境の実現をめざすとしている。

川島 弘之