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CERNの大型加速器の可用性を支える、Software AGのビッグデータ技術
(2015/1/9 13:55)
独Software AGは7日(現地時間)、欧州原子核研究機構(CERN)にインメモリデータ管理ソフト「Terracotta BigMemory(以下、BigMemory)」を提供したと発表した。
CERNでは現在、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を最大2倍のエネルギーで運用するための準備段階となる大規模な保守・アップグレード作業に取り組んでいる。完了後、2015年の早い時期には研究を再開する予定で、研究者は物質の原成分の探求において、宇宙の構造を実証する調査の新たな扉を開くことになる。その運用を支援するのが、LHCの最適な動作環境を維持する複数の支援システムにリアルタイム情報を提供する基盤となる「C2MON(Control and Monitoring Platform)」。BigMemoryはそのデータ収集・分析を担う。
CERNでは研究のため、9万4000個を超えるセンサーから生成された大量のデータを監視する必要があるという。BigMemoryを活用することで、このデータを1日あたり150万個のイベントに再編成。エンジニアやオペレーターがそれらのイベントをリアルタイムに受信・分析し、その結果を基に必要な作業を行う。
C2MONには高い可用性が求められ、99.99984%以上のサービスレベル(週に1秒以下のダウンタイム)を維持するために、電力供給から温度レベル、エアロックの状態、通気系統、そのほか多くの主要なシステムなど、あらゆるものが継続的に監視されている。BigMemoryで最新の情報をリアルタイムに提供することで、ごくわずかな狂いが生じた場合でも、エンジニアやオペレーターが直ちに行動し、意図せぬ結果を回避できるという。
BigMemoryは、ハードウェアに問題が生じたい場合の自動フェイルオーバーや、監視を中断することなくシステムをアップグレードできる能力もC2MONに提供しており、システムを長時間止めることなくインフラ系統の調査を可能にしている。
CERNは、スイスのジュネーヴ郊外でフランスと国境地帯にある世界最大規模の素粒子物理研究所。加速器による素粒子物理・原子核物理学の研究のほか、研究に必要な技術開発も行う。LHCは高エネルギー物理実験を目的とし、2008年に稼働開始した衝突型円型加速器で、全周は27kmにおよぶ。ヒッグス粒子の探求をはじめ、非常に高いエネルギーで素粒子反応を起こせる設備の特性を生かした、さまざまな研究が行われている。