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“第3のプラットフォーム”がすべての産業に世代交代をもたらす~IDC予測

 IDC Japan株式会社は8日、2015年世界ICT市場の主要10項目を発表した。2015年には、モビリティ・クラウド・ビッグデータ・ソーシャル技術からなる“第3のプラットフォーム”が、全産業において革新・成長・世代交代をもたらすと予測している。

 2015年の世界ICT支出は、前年比3.8%増で3兆8000億ドルを超える。その成長のほぼすべてが第3のプラットフォーム技術に集中。「ICT産業は現在、第3のプラットフォーム時代において最も重要な時期、すなわち“革新ステージ”に入ろうとしている」と、米IDC シニアバイスプレジデント兼チーフアナリストのフランク・ジェンス氏は語る。

 “第2のプラットフォーム”は2015年末までに後退期を迎え、新興市場におけるICT支出は前年比7.1%増となる一方、成熟市場では1.4%増にとどまるとも指摘している。

 サービス分野別に見ると、通信サービス市場は無線データ通信が最大(5360億ドル)かつ最高の成長率(13%増)のセグメントに躍り出る。モバイルデバイス&アプリケーションはここ数年に見られたような驚異的なペースではないものの2015年も急速に成長。スマートデバイスの売り上げは4840億ドルに達し、通信サービスを除くIT支出全体の伸びの40%を占め、中国ベンダーが世界市場で大きなシェアを獲得するという。一方でウェアラブルデバイスには劇的な技術革新がもたされるものの販売台数は伸び悩むという。

 クラウドサービスは、エコシステムを含む市場で1180億ドルの支出を生み出し、2015年も引き続き活発な動きを見せる。IaaSの導入が36%増と高い成長を維持するとともに、市場をリードするAmazonはあらゆる方向からの攻撃の的になる。同様にPaaS、SaaSも利用を加速させる動きが予測され、FacebookとMirosoftあるいはIBMの提携、AmazonとHPの提携のような今までなら考えにくいパートナーシップの誕生も見込まれるという。

 ビッグデータは、アナリティクスにとって重要な発展の年になり、関連するソフト・ハード・ITサービスへの全世界の支出は1250億ドルに拡大する。特に「リッチメディア(映像・音声・画像)アナリティクス」が有力な推進役となるほか、オープンデータや認知学習、機械学習、IoTアナリティクスなどの新しい進展も見られると予測。

 IoTは、第3のプラットフォームにおいて最も重要なイノベーションアクセラレーターの1つとなり、ますます多くの自律的に接続される機器が発明され、何千もの新しいソリューションが開発される。2015年におけるIoT支出の1/3は、ICT産業以外のインテリジェント組み込みデバイスに集中し、故障予測診断が重要なカテゴリになるという。

 こうした第3のプラットフォームによる産業は、テクノロジー産業にとどまらず、地球上のすべての産業を変革しており、その発展が引き起こす大規模な世代交代が2015年に数々の産業で表面化すると予測。例として、金融における決済ネットワークの代替、IoT技術の都市安全・公共事業・交通機関への拡大、そして小売業における位置情報サービスの拡大が挙げられる。

川島 弘之