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DNP、人とロボットのコミュニケーションをAIで支援する基盤開発へ

 大日本印刷株式会社(DNP)は12日、AI(人工知能)を使って人とロボットのコミュニケーションを支援する「知能コミュニケーションプラットフォーム」の構築を開始したと発表した。第1弾として「音声AIナビゲーションシステム」と「対話型AIシステム」を開発した。

 日本では少子高齢化によって労働人口が減少しており、それを補う手段としてロボットが有力視されている。ロボットと人が共創するためには、ロボットが相手の意図を読み取り、対話し、考え、学べる「知能」が必要となる。DNPは今回、ロボットと人が同様の発想や対話が行えるようにするための知能システムを提供すべく、「知能コミュニケーションプラットフォーム」の開発に着手。

 この基盤では、音声認識や発想、対話などコミュニケーションに必要な知能処理機能をクラウド型で提供し、対話を重ねることで知識や感情などの情報が蓄積され、知能レベルや感情を察する精度が向上する仕組みをめざす。これにより、「企業の新商品開発や新規事業の検討」「店舗の接客における関連商品や意外な商品の提案」「娯楽施設などでの生活者とのコミュニケーションツール」といった応用例が考えられるという。

 こうした技術はクラウドやビッグデータ関連技術の発達により、機械に自動的に概念や行動プログラムを学習させる「機械学習」という形で進化を遂げた。DNPも最新のAI技術と自社で培ってきたコミュニケーション関連の技術を組み合わせ、今回の取り組みに生かす考え。

 第1弾として、「音声AIナビゲーションシステム」と「対話型AIシステム」を開発した。前者は展示会やイベント会場に設置したデジタルサイネージなどに来場者が話しかけることで、ナビゲーションシステムをインタラクティブに操作できる。会場案内、展示内容、出演者などの情報を動画・静止画・音声で伝えるほか、人が話す日常的な言語を自然言語処理技術で処理して、来場者が希望するイベント関連情報などを的確に表示するという。

 後者は音声によるロボットとの対話を通じて、その言語に関連する新たな言葉を大量のWebページのデータから自動学習する。その学習結果を蓄積することで、関連用語や関連情報、意外な発見や気づきにつながるアイデアを提供するという。

 今後の展開としては、人とロボットのコミュニケーションに必要な機能を開発するとともに、今回開発したシステムの利便性を向上させつつ、2015年までに「知能コミュニケーションプラットフォーム」の実用化をめざすとしている。

川島 弘之