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日立、M2M基盤を容易に導入できるサービス、社会インフラ分野へ提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、M2M向けシステム基盤を容易に導入できる「M2Mトラフィックソリューション」を開発し、電力事業者や鉄道事業者などの社会インフラ事業者向けに9月5日から販売する。提供開始は10月31日から。

 同ソリューションでは、電力、水道、ガス、交通などのさまざまな社会インフラ分野において、施設・設備の管理や予防保全などを目的としたM2M基盤の導入を容易にする。2013年10月に発表した「Traffic Management Solutions(TMS)」――ビッグデータの利活用技術を生かしてデータ通信のトラフィックを計測し、目的に応じて分析・制御する通信事業者向けの大規模・高信頼な通信制御技術――の開発コンセプトに基づき、パケットが大量・広範囲に発生するM2Mのトラフィック特性に応じたネットワークの計測・分析・制御を実現する。

概念図

 具体的には、データの収集・管理・見える化、機器・ネットワークの制御などを一元的に行うクラウドサービスと、省電力・拡張性を備えたM2M機器(センサー、ゲートウェイ)を新たに開発。M2M基盤の導入コンサルティングからシステム設計、ネットワーク構築、クラウドサービス運用・保守、ならびに業務アプリとの連携といった各種サービスとともにトータルに提供する。これらにより、M2M基盤の容易な導入を可能にする。

 具体的な特長として、通信事業者向けに提供してきた通信制御技術を基に、大規模・高効率・高信頼なM2Mネットワークを実現する。機器や回線に対する最適な制御をクラウドで行い、途切れやすい無線の性質に対応した機器間伝送も実現。回線遮断によるデータ欠損時も、回線復旧後に複数データをまとめて迅速に送信するなど、安定して運用できる。

 センサーノードやゲートウェイ、クラウドサービスは相互連携し、クラウド運用センターから一括して機器設定が可能。現場で複雑な設定なしに、機器の電源を入れるだけで利用開始できるという。運用も顧客自身で行えるよう最適化されており、機器の状態監視やWAN・FAN(Field Area Network)のネットワーク動作を操作することで、例えば、特定のセンサーノードのみ収集頻度を上げるなど、きめ細かく運用できる。

 クラウド上では環境の見える化やネットワークの制御に加え、APIによる業務システム連携も実現。ゲートウェイでは、OSGi(Open Services Gateway initiative:遠隔から管理できるJavaベースのサービスプラットフォーム)フレームワークの技術を採用し、データ加工やデータ流量管理などのアプリを動的に実装可能。クラウドを運用するセンターからゲートウェイのアプリを管理・配信する機能により、サービスの追加・変更も柔軟に行えるという。

 サービスメニューは「センサーネットワーク構築コンサルティングサービス」「M2Mトラフィックソリューション/クラウドサービス」「クラウドサービス/個別オプション」で、価格は個別見積もり。同ソリューションの構成要素として、接続されたセンサーの値をゲートウェイに送信する装置「AirSense Sensor Node」、センサーノードからの酒独データをクラウドに転送する収集装置「AirSense Gateway」が提供される。

【左】AirSense Sensor Node、【右】AirSense Gateway

川島 弘之