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Vodafone、M2M普及状況調査レポートを公開、普及率は全世界で前年比80%増
(2014/9/26 13:51)
ボーダフォン・グローバル・エンタープライズ・ジャパン株式会社(ボーダフォン)は25日、全世界のM2Mの普及状況を調査した「2014年度版ボーダフォン M2M 普及状況調査レポート」を発表した。
世界各国で自社ネットワークインフラを持つボーダフォンのM2M戦略
ボーダフォンは調査レポートに関する記者発表会を開催。まず、ボーダフォンのM2M戦略について、Vodafone M2M アジアパシフィック事業担当ディレクターのニクラス・エカーブ氏が登壇。ボーダフォンのM2M戦略について語った。
M2Mは現在、複数の分野で活用されており、自動車分野では、衝突時の自動通知やナビゲーション情報など安全性に関わる機能や、インフォテインメントシステムに利用されているという。また、運輸とか流通の分野では、バックオーダー管理や荷物の位置の追跡。エネルギーや公益事業の分野では、スマートメーターでデータの監視・分析で利用されているとした。
ボーダフォンでは、2009年にM2Mビジネスの見直しを図り、M2M専門のチームを設置。通信業者のほか、各分野の専門家を集めてチームを強化したという。現在のM2M戦略は、中心となるM2Mのコネクティビティの管理のほか、M2Mに接続する製品、通信するための固定・モバイルネットワーク、コンシューマー向けのM2Mサービスの4つの柱で構成。端末からアプリケーションまで、End to Endで提供できるという。
ボーダフォンの強みとして、自社でコントロールできる、M2Mで最大のネットワークを持っている点を挙げた。世界各国で展開している27の自社ネットワークインフラに加え、パートナー提携している30のネットワークを持っており、トラブルが起きた際でも迅速に対応できるとしている。
ニクラス氏は、M2Mにより、製品の製造方法・プロセス・デザインが変わり、新しいビジネスモデルが生まれたり、リモートデバイス内のデータを価値ある情報に変えることで、ビジネス上の意思決定に利用できると述べた。
M2Mの普及率はAMEAPがトップ
M2Mの普及状況調査レポートについて、2009年に設立された、日本企業へのM2M導入・展開をサポートするVodafone M2M Japanのカントリーマネージャーを務めるティモ・ハロネン氏が説明した。
調査は、英国のCircle Researchが実施。日本、オーストラリア、中国、韓国、インドを含む世界14カ国と、自動車、家電、エネルギー、ヘルスケア、製造、小売、運輸の7業界、600社以上の企業経営幹部が対象。うち200社以上はアジア太平州地域となっている。
M2Mを導入している企業の全世界平均普及率は22%で、前年の12%と比較すると80%の伸びを示した。地域別でのM2Mの普及率は、米州で17%(前年比4ポイント増)、欧州で21%(前年比10ポイント増)に対して、AMEAP(アフリカ・中東・アジア太平洋地域)が27%(前年比15ポイント増)と、AMEAPでの普及が加速している。
特に、中国では、スマートシティやスマートメーターなど公共分野でのM2Mの普及が進んでいるという。2016年までには地域間のギャップが小さくなり、すべての地域で普及率が50%を超える見通しだとした。
業界別の普及率では、自動車、公益事業および家電で伸びが大きく、自動車では28%(前年比9ポイント増)、公益事業では28%(前年比15ポイント増)、家電では29%(前年比17ポイント増)となっている。特に、アジア大洋州地域では、自動車、公益事業、家電、製造が導入を牽引しているという。
現在、企業の41%が内部向けのみのM2M戦略を持っているが、これはミッションクリティカルなプロセスにおいて混乱のリスクが低く、既存の管理のなかでROIを見極めやすいためだとしている。M2Mテクノロジーの成熟により、外部向け戦略を持つ企業が増え、内部志向の企業は今後3年間で25%まで低下すると見込んでいる。最終的には、外部志向と内部志向の境界線はなくなり、企業がどのROIにフォーカスするが重要になるとした。
そのほか、M2Mを導入するにあたり、72%の企業がセキュリティに懸念を抱いていると回答したという。ハロネン氏は、M2Mだけでなくクラウドコンピューティングなど新しいテクノロジーも同様の懸念があり、セキュリティは解決すべき課題の1つに過ぎないとする企業が多く、最大の懸念事項とする企業はわずか12%のみ。セキュリティ懸念に対して適切に対処することで、M2Mの利点を活用できるとした。
ボーダフォンのM2Mは、プライベートアクセスをベースとしており、公衆のネットワークからアクセスはできないため、外部からの攻撃は難しく、これまで外部から攻撃を受けたという報告は無いという。ただし、セキュリティに十分注意を払うことは重要であり、ユーザーにはガイドラインを配布している。
なお、ボーダフォンでは、リモート機器・車載機器・スマートメーターなど、人が介在しない機械と機械の通信のほか、人は介在するが、通信とビジネスモデルが組み込まれている電子書籍リーダーなどをM2Mと定義している。なお、携帯電話は音声通話やメッセージのやり取りなど人同士が利用するためM2Mには含まれないとしている。
富士通はグローバルM2Mサービスでボーダフォンをパートナーに
記者発表会では、ゲストとして富士通株式会社ネットワークサービス事業本部IoTビジネス推進室シニアディレクターの大澤達蔵氏が登壇した。
富士通は、2010年に日本の通信事業者として初めてグローバルM2Mサービス「FENICS Ⅱ M2M」を開始。これまで、各国それぞれのサービス事業者と契約する必要があった、通信機器、ネットワーク、クラウドをワンストップで提供。日本語での契約やサポートが行えるため、グローバルで展開する日本の製造業の利用が多いという。
大澤氏は、FENICS Ⅱ M2Mの提供にあたり、パートナーとしてボーダフォンを選択。グローバル規模でのエリアカバレッジを持っているほか、グローバルM2Mでの豊富な経験と実績を理由として挙げた。また、ボーダフォンではM2Mプラットフォームを自社開発しており、富士通のプラットフォームとの連携でも強力なサポートを得られたという。
今後は、M2M適用市場の拡大のほか、IoT時代に向けてボーダフォンとの連携を強化するという。