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日本IBM、2つのPaaSソリューション「Bluemix」「PureApplication」の最新動向を紹介
(2014/8/28 15:25)
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は28日、ソフトウェア事業本部によるPaaSソリューションの最新動向説明会を開催した。
IBMのPaaSソリューションとしては、既存アプリケーションをクラウド化する「PureApplication」、新たにクラウドアプリケーションを迅速に開発する「IBM Bluemix」の、大きく2つのソリューションラインがある。9月12日に実施するイベント「IBM XCITE 2014 Autumn」において、それぞれの最新動向を発表することから、それを踏まえてそれぞれの最新動向を紹介した。
迅速な開発を実現するBluemix、61のサービスを提供
IBMの2つのPaaSソリューションは、将来的には相互運用なども検討しているものの、現段階ではIBM Bluemixがベータ版を今年4月、正式版を6月30日に発表したばかりであることもあって、それぞれ別々に進化を続けている。
IBM Bluemixは6月30日にサービスを開始後、国別などの詳細は発表されていないが、「全世界で10万ユーザーが登録。これは予想を大きく上回る伸びとなっている。登録ユーザーは企業ユーザーだけでなく、開発者も多数参加している」(日本IBM ソフトウェア事業本部 クラウド・プラットフォーム・サービス事業部の事業部長、高瀬正子氏)という状況となっている。
提供されるサービスの数も、「毎日増加しており、4月23日の発表時点では31のサービスだったが、8月28日現在では61のサービスがある。この数も明日にはまた増加する可能性がある」(高瀬氏)と増加傾向にあるという。新しいサービスとしては既存のIBM製品に加え、IBMが買収した製品、サードパーティ製品、オープンソースコミュニティのサービスという4種類がある。
利用者が利用しやすい料金体系として、フリートライアル、Web決済、従来のソフトウェア契約に結び付けて契約することも可能なサブスクリプションの3種類を用意している。
日本IBM側でもBluemix推進のために、ソフトウェア事業本部 クラウド・プラットフォーム・サービス事業部を2014年7月に設立し、従来型のシステム構築に加え、PaaSやSaaSなどのクラウド製品、サービスを組み合わせたシステム構築を支援する体制を整えている。
また、5月21日からコンテスト「IBM Bluemix Challenge」を実施しており、IBM XCITE Autumnで受賞者の発表、表彰式、コンテスト参加者によるパネルディスカッションの開催を予定。「超短期間で、アイデアが育って具体化していく、従来のIT開発とは次元の違う開発スタイルを具現化したものとして紹介していく」(高瀬氏)。
プラットフォームとしての進化を続けるPureApplication
一方、PureApplicationは、既存のアプリケーションをクラウド化するためのプラットフォームとしての進化を続けている。
日本発のソリューションは、2012年4月時点では4社、5ソリューションだったが、今年8月時点では19社、27ソリューションまで拡大した。
ハードウェアも第2世代のものが6月6日から出荷を開始し、SoftLayer上でPureApplication Serviceの提供が6月13日からスタート。プライベート、ハイブリッドの両方の環境でPureApplicationの利用が可能となった。「プライベート環境では企業規模の拡大、開発/テストから本番への移行、LOBから企業IT部門の管轄への移行などを実施し、パブリックではSLAに応じての負荷のオフロード、ピーク回避のための拡張としての利用など、使い分け活用ができる環境となった」(日本IBM 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部 事業部長の清水徳行氏)。
PureApplication Software V2.0の提供もスタートし、継続的な可用性の向上、パターンカスタマイズを容易に実現し、オープンへの対応などパターンの柔軟性の向上、さらなる運用性の向上などを実現した。
こうしたサービスの進化とともに、クラウド事業を展開する他社との差別化ポイントを、日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長のヴイヴエック・マハジャン氏は、「IBMにとってクラウドは大変重要な事業と位置づけ、ソフトウェア、サービスの開発が進められている。ただ、その一方でIBMにとっての最大の強みは、ソフト、サービスだけでなく、ハードウェア、コンサルティングなどをトータルで提供できる点にある。そこはクラウド専業のアマゾンにはない強みだ」とクラウドの進化とともに、ラインアップの広さにあると強調した。