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KVH、アジアの主要100のデータセンターを接続する「DCNet」

テクノロジー本部 執行役員の濱田義之氏

 KVH株式会社は17日、アジアの主要100のデータセンター(DC)をキャリアクラスのネットワークで接続する「DCNet」サービスを発表した。8月から提供を始める。

 企業やクラウド事業者にとってDCの果たす役割はますます重要となっている。特にDCとユーザー企業を結ぶ「Data Center to Client(D2C)」型のトラフィックより、今後はさまざまなDCを相互接続した「Data Center to Data Center(D2D)」型のトラフィックが増えるとされており、そのCAGR(年平均成長率)は26%増、2017年には530エクサバイトに達し、アジア地域だけでも15億ドル規模の市場に成長すると見られている。

2つの主なデータセンター・トラフィックのパターン。左がD2C、右がD2D
D2D型のトラフィックが急増している

 「こうしたDC間のトラフィック急増に対応するために、コスト効率が高く、素早い拡張が可能なデータセンター間接続サービスが求められている」と、テクノロジー本部 執行役員の濱田義之氏は語る。

DCNetはDC間接続にフォーカス

 DCNetは、KVHのDCのみならず、パートナー各社の主要なDC間を相互接続するプライベートネットワークを提供するもの。各国のパートナーのDCに回線・ネットワーク設備を設置し、100Mbps~10Gbps(2015年第1四半期からは100Gbpsも提供予定)の帯域保証型あるいは従量課金型でDC間接続を実現する。

 対象となるDCは、東京・大阪・香港・シンガポール・米国で、国内の主要DC事業者や米Coresiteなどの海外事業者との提携も進める。企業ユーザーはDC事業者の垣根を越えて、BCPや事業拡大に伴うDC利用の拡充、地理的分散が可能となる。

サービスは8月より開始し、順次接続するDCを拡充。2014年内に約100のDCをカバーする
米国との接続も進める

 濱田氏によれば、従来こうしたDC間接続には、「複数の回線契約による各ベンダーとの交渉」「プロビジョニングに標準約6週間という時間」「帯域保証のみの長期契約」「利用量に関係なく固定料金」が必要になるなど課題が多かったという。

 DCNetでは、料金体系、拡張性、管理を「シンプル」にしたのが特徴とのことで、今後のD2Dトラフィック急増を見据え、これらの課題を解決する新サービスとなる。

 契約に関してはKVHが窓口を一括して担当。サービスメニューは、各国の大都市内でのサービス利用を対象とした「メトロ DCNet」と、海外への接続サービス利用を対象とした「インターナショナル DCNet」の2種類を用意し、「帯域保証型」「帯域保証型+バースト」「従量課金型」の料金体系を提供。分かりやすい料金体系とした。

帯域保証型サービス
帯域保証型+バースト型サービス
従量課金型サービス

 従量課金を例に取ると、基本料金となるポート料が1Gの場合で月額2万5000円、10Gの場合で月額5万円。あとは実際に発生するトラフィック量に応じた月額課金となり、利用帯域が500Mbps以下の場合で1Mbpsあたり月額350円、501Mbps以上の場合で1Mbpsあたり月額150円となる。

ポート月額料金
トラフィック従量課金の月額料金

 例えば、二都市のDCを利用したBCPを実現したい場合。低価格なDCNetポートの月額契約を支払うだけでサービスが提供され、毎月のレプリケーション量に応じたトラフィック利用料をメガビット単位の固定レートで払うという形になるため、シンプルに環境を整えられるとしている。

 2014年内に日本国内・アジア・米国の主要な約100のDC間を接続し、ビジネスパートナー、サプライヤ、サービスプロバイダーへのシームレスな接続を提供するとしている。

川島 弘之