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日本IBM、クラウドを体験できる開発者向けイベントを関西地区で開催
SoftLayerやBlueMixを紹介
(2014/5/26 13:29)
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は26日、大阪・梅田のヒルトン大阪において、プライベートイベント「IBM Cloud Exchange 2014 関西」を開催した。
開発者やエンジニアが対象、事業説明やハンズオンを実施
IBM Cloud Exchangeは、開発者やエンジニアを対象にしたイベントで、「もうひとつのCloudが必要な理由」をテーマに、SoftLayerを中心とした日本IBMのクラウド事業に関する取り組みについての説明を行った。また、SoftLayerのハンズオンセッションを用意し、SoftLayerの特徴や機能を紹介するとともに、参加者が持参したPC上で、SoftLayer環境の構築・運用を実際に体験する場を提供している。会場では、関西地区の開発者やエンジニアなどが210人が参加した。
SoftLayerのハンズオンでは、参加者が持参したPCを利用して、構成見積もりの手順を体験したほか、Homework編として、Web管理ポータルの手順と、モバイルアプリの手順についても説明した。
また、会場ではSoftLayerの関するクイズを実施。「SoftLayerの本社があるダラスには主要拠点が8カ所あるが、すべてデータセンターとして稼働している」、「SoftLayerは、ビジネスパートナーによる再販が可能になっている」など8つのクイズに対して○、×で参加者が回答し、全問正解者にはモバイルチャージャーがプレゼントされた。ちなみに、回答は前者が×、後者が○だった。
さらに来場者には、SoftLayerの30日間の無償トライアルカードも提供された。
日本IBMのマーティン・イェッター社長は、「IBMは、SoftLayerの買収をはじめ、クラウドのポートフォリオを拡大してきた。これによって企業の成長を支援することができると考えている。今回のイベントは、クラウドの可能性を考える場である。また、SoftLayerをはじめとするIBMクラウドを直接体験してもらう場でもある」と語った。
SoftLayerの強みは?
また、「IBM Cloud―SoftLayerが世界で選ばれる理由」をテーマに、日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 技術理事の山下克司氏が講演した。山下氏は、「いままでは、ITシステムは記録するものであったが、いまでは最終ユーザーが、直接、企業ITシステムにつながっていくものとなっている。これは、システム・オブ・レコードから、システム・オブ・エンゲージメントへと変わってきていると表現できる」と前置き。
「現在、インターネットのトラフィックは、35のサイトに集中し、そのうちトップ10の8割は米国の企業となっている。インターネットのグローバルプレーヤーは、5年以上をかけて高速インターネット環境を作り、いまや規模の経済が、インターネットの世界の基盤となっている。この5年の遅れを取り戻すのは無理である。そこにSoftLayerが選ばれる理由がある」とした。
全世界に13のデータセンターを持つSoftLayerは、19カ所のネットワークのエントリーポイントから世界中のネットワークと接続でき、10Gbpsの冗長化したリンクが利用可能になる。
「これはSoftLayerの専用高速道路のような環境であり、インターネットの制約を受けずに、柔軟な活用が可能。ネットワークセントリックなさまざまなサービスを利用することができる。つまり、利用者は5年という月日をかけずに、瞬時に世界最高環境のネットワークを利用できるようになる」と説明した。
ひとつのプラットフォームから、専用サーバー、物理サーバー、共用の仮想サーバーといったさまざまな資源を活用した柔軟な活用が可能な点も特長で、テストサイト、パイロット活用、本番環境でのユーザー獲得、さらなる拡張といったことを、ビジネスの成長にあわせてSoftLayer上で対応できる。
また、システム管理についても、標準でシステムモニタリングを提供。システムのイメージもグローバルで共有することができる特徴を持つ。さらに、セキュリティでは、標準でファイヤウォールやアンチウイルスを提供。加えてSOC認証やデータセキュリティのPCIDSS、プライバシーデータの取り扱いに関するSafeHarborなどの認証も取得しているという。
さらに、SoftLayerのハンズオンを担当した日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 クラウド事業統括の宇藤岬氏も、SoftLayerの特徴について説明。
「グローバルの高速ネットワーク・バックボーンを持つこと、物理サーバーと仮想サーバーのハイブリッド環境の実現、統一アーキテクチャに基づく豊富なサービスの3点が、SoftLayerの特徴となる。2014年末には、15カ国40カ所のアクセスポイントを持ち、上下100Gbpsの高速ネットワークを無償で利用できることや、共通の管理方法で一貫性のある管理を実現できること、数クリックでサーバーの海外展開ができるといった特徴がある。仮想サーバーが稼働しているデータセンターで取得したカスタマイズOSイメージから、ほかの地域のデータセンターへ簡単にデプロイができる。さらに、インターネットVPNでSoftLayerデータセンターに接続でき、クラウドにあるマシンの脆弱性を無料でチェックできる」と話している。
オープンPaaSを実現するBlueMix
一方、同社が次世代クラウドプラットフォームとする「BlueMix」についても説明。山下氏は、「BlueMixでは、実行環境とデータベースなどのサービスの構築を高速化するものである」とし、アプリケーションの実行環境を30秒でセットアップできること、データベース、メッセージキュー、ビッグデータ解析などのサービスを30秒で用意できること、IBM Watsonの質問応答システムもサービス化する予定であることなどを示した。
「BlueMixは、提供環境に依存しない独立性を維持。これをCloud Foundryとして展開している。開発言語に制限がなく、開発環境にも制限がなく、DevOpsを実現できる。また、特定のインフラに依存せず、クラウドベンダーにロックインされない。一度、BlueMixで開発したアプリは、Amazonをはじめとするあらゆるプラットフォームでも動かすことができるオープンPaaSという考え方を実現している」と述べた。
「インフラだけでなく、ネットワークとユーザーを結ぶという点で、SoftLayerとBlueMixを提供していきたい」と語った。
なお、同日には、企業や団体の代表者および役員を対象にテクノロジーを活用した経営改革の提案を行う「IBM Leaders Forum 2014」、ITを活用した戦略立案に興味を持つマネージャーや意思決定者を対象にした「IBM Innovation Forum 2014」も開催された。
なお、これらのイベントは、すでに5月19日に、札幌で開催。6月3日には福岡、6月11日には金沢でも開催される。