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デル、アプリケーション性能を高速化する「Fluid Cache for SAN」

最大500万IOPSを実現

Dell Fluid Cache for SANのメリット
Dell Fluid Cache for SANの構成

 デル株式会社は14日、アプリケーションの性能を向上させるストレージソリューション「Dell Fluid Cache for SAN」を発表した。ソフトウェアとフラッシュストレージ、SANストレージ「Dell Compellent」などを組み合わせて実現され、ランダムリード性能で最大500万IOPSを発揮できるという。提供は、2014年7月までに開始される予定。

 「Dell Fluid Cache for SAN」は、アプリケーションパフォーマンスの向上とレスポンスタイムの短縮を実現するストレージソリューション。フラッシュストレージを搭載したキャッシュサーバークラスタ「Cache Contributor Servers」、アプリケーションが動作するクライアントサーバー「Cache Client Servers」、低遅延のキャッシュネットワーク、ストレージアレイ「Dell Compellent SC8000」(以下、SC8000)などから構成され、OLTPやデータウェアハウス(DWH)、仮想デスクトップ(VDI)といった、データへの高速なアクセスを必要とするアプリケーションの性能を、劇的に改善するという。

 簡単にいうと、アプリケーションサーバーに近く、高速なフラッシュストレージを搭載したCache Contributor Serversにデータをキャッシュすることで、アプリケーション性能を向上させる仕組み。アクセス頻度の高いデータをキャッシュとなるフラッシュストレージへ配置する必要があるため、データの再配置などを行うためのソフトウェア技術が肝になっているが、米Dellが2011年6月に買収した米RNA Networksの技術を利用し、Compellent側の新OS「Dell Storage Center 6.5」と連携してインテリジェントな階層化を行っている。

 キャッシュサーバーの役割を果たすCache Contributor Serversは、デル製のサーバーに、このRNA Networksの技術を受け継いだソフト「Dell Fluid software」とPCI Express(PCIe)接続のフラッシュストレージを搭載したものだ。キャッシュサーバーの役割だけを担うのではなく、その上でもアプリケーションを動作させることが可能だが、最小2台から最大8台までのサーバーをクラスタ化してキャッシュプールを構成する点が特徴になっている。1台あたりに搭載できるフラッシュストレージは最大1.6TBまでのため、8台では12.8TBまでのプールが構成できる。

 一方、このキャッシュプールを利用するCache Client Serversは、Dell Fluid softwareをインストールし、高速ネットワークでクラスタと接続できれば、他社製サーバーでも構わない。アプリケーションからは、このキャッシュプールを透過的に利用できるので、特にアプリケーションに手を加えずに、高速化の恩恵を受けることが可能だ。Cache Client Serversは、Cache Contributor Serversとあわせて最大8台のクラスタを構成するため、最大6台まで追加できることになる。

 これらを接続するネットワークは、SC8000へ接続するネットワーク(FC SANとiSCSI SANに対応)とは別のネットワークを利用する。具体的には、10Gigabit Ethernet(GbE)あるいは40GbEをインフラとして利用した、低遅延のRDMA over Converged Ethernet(RoCE)で接続され、サーバー(Cache Contributor Servers/Cache Client Servers)側には、PCIe接続のメラノックス(Mellanox)製のネットワークカードが必要になる。スイッチなどのネットワーク機器は、デルの製品と一部のシスコ製品が検証済みとのこと。

 米Dell エンタープライズ・ストレージプロダクト・マーケティング エグゼクティブ・ディレクターのトラビス・ビジル氏は、「サーバーサイドフラッシュによってリード速度を高速化するのは珍しいものではないが、ライトバックキャッシュにも対応しているのが特徴だ。また、外付けのストレージ(Compellent)とシームレスに統合でき、レプリケーションやスナップショット、データプログレッションなどSAN側で要求される機能もきちんと提供されるのも他社にはないこと」と、その特徴を説明した。

 キャッシュサーバーやクライアントサーバーを構成するためのDell Fluid softwareは、現在、LinuxとVMware ESXi環境をサポートしており、さまざまなアプリケーションに適用可能。なおデルでのテスト結果では、Oracle Database上のOLTPにおいて、レスポンスタイムを最大99%削減したほか、1秒あたりのOracle Database上のOLTPを3.9倍以上に向上させたとのこと。

米Dell エンタープライズ・ストレージプロダクト・マーケティング エグゼクティブ・ディレクターのトラビス・ビジル氏
Dell Fluid Cache for SANの効果

石井 一志