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クルマとヒトの次世代認証基盤、ユビキタスとサイバートラストが示す未来

「ドライバーズ認証ソリューション」試作型を発表

 株式会社ユビキタスとサイバートラスト株式会社は13日、スマートフォンと自動車に搭載された車載機にデバイス証明書と生体認証技術を適用することで、ドライバー個人を認証可能にする「ドライバーズ認証ソリューション」のプロトタイプを開発した発表した。

 現在、自動車のドライバーの特定は本人申告や対面確認以外に証明する手段がなく、実際は車検証や自動車保険証書を用いて車両の所有者ベースで特定する方法が主流だ。しかし今後、自動車がネットワークに接続され、さまざまなサービスや高度運転者アシスト(ADAS)などを利用したスマートカーの普及が予測されており、ドライバー個人にひもづくセキュリティや認証技術が不可欠となる。

 今回の「ドライバーズ認証ソリューション」はスマートフォン上で、サイバートラストの端末認証サービス「サイバートラスト デバイスID」と東芝ソリューションの高度な生体認証技術「ACBio」を利用することで、安全・確実にドライバー本人の認証(本人、時間、場所)を可能にした。

 さらにルネサス製の車載情報端末向けの高機能SoC(システムオンチップ)「R-Car M2」に車体固有のデバイス証明書を組み込み、これらを結びつけることで運転中のドライバーと自動車の状態をひもづけて証明することも可能に。ドライバーのなりすまし防止やパスワードを使わない確実な認証を実現するという。

 スマートフォンと、将来実装が予測されるドア用指紋認証センサー、運転席用シートセンサー、運転席用顔認証センサー、ハンドル用静脈認証センサーなどを組み合わせて、自動車におけるさまざまな付加価値が想定される。

「ドライバーズ認証ソリューション」のコンセプトデモイメージ

 両社は「自動車・ドライバー・サービス事業者が安心・安全にさまざまなサービスや機能を利用できる次世代認証プラットフォームとして開発を継続。解錠からエンジンスタート、運転時のドライバーズ認証、ドライバーズ支援システムとの連携、および下車時の証明など、ドライバー個人の認証が可能なシステムとして実用化を目指す」とコメント。

 将来的には、車両制御情報のリアルタイム収集システムなどと組み合わせた新サービスも想定し、たとえば、「特定されたドライバーの乗車前・乗車中・乗車後の挙動データと自動車の実走データを収集・分析し、ドライバーに合わせてカスタマイズされた自動車保険のダイナミックプライシング」、「安全性に配慮したスマートフォンサービス連携、高度な遠隔コントロール、自動車の盗難防止、セキュリティ対策」、「業務用車両の運行管理・安全管理」などの実現を目指すとした。

 なお、2014年5月14日~16日に東京ビッグサイトにて開催される 「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」 ユビキタス社ブースにおいてコンセプトデモを展示する予定。

川島 弘之