ニュース
IoTへのJava浸透を狙うオラクル、村田製作所の事例を紹介
(2014/4/23 06:00)
日本オラクル株式会社(オラクル)は4月22日、Java ME EmbeddedによるInternet of Things(IoT)への取り組みに関する記者説明会を開催。株式会社村田製作所が、組み込み用通信モジュールへのJava ME Embedded 8の採用について説明した。なお、Java ME Embeddedの最新バージョンであるJava ME Embedded 8は、米国時間4月30日のリリース予定。
村田製作所は組み込みの通信モジュール市場で60%のシェアを持つ、と同社の通信事業本部 コネクティビティー商品事業部 ソリューションアービス部 ソフトウェア開発室 係長の芦谷浩司氏は説明する。最近ではAV家電や白物家電、ヘルスケア製品などにも通信モジュールを提供。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアや、Wi-FiやRFの認証などのサポートも提供しているという。
この中で、白物家電やヘルスケア製品などに向けた「WLAN Smart Module」は、Wi-Fiモジュールと32bit CPUを組み合わせたモジュールだ。ソフトウェアを動作させられることで、「ホスト側の処理の負荷を軽減し、ネットワーク型機器の開発を容易にするため、すでに多くの機器で採用されている」(芦谷氏)。
WLAN Smart Moduleの現状の課題として芦谷氏が挙げるのが、省リソースであることの制限、CPUやOSに依存した開発、高級OSと比較して少ないソフトウェア部品の3つだ。
そこで、次期WLAN Smart Moduleでは、製品を2タイプに分ける。低コスト版では通信モジュールとCPUを1チップ化してより小型化し、従来どおりリアルタイムOSを動作させる。そしてもう一つ、高機能版を投入。より高性能なCPUとチップ外のRAMを搭載して、ソフトウェアプラットフォームとしてJava ME Embedded 8を採用する。
芦谷氏はJava ME Embedded採用のメリットとして、豊富なライブラリや汎用の開発環境による開発メリット、クラウドと統一されたJavaによる開発や管理、汎用性やアプリケーション追加の容易さを挙げた。
「低コスト版と高機能版は、両者を適材適所で提案する。クラウドに近い分野など、より高級なアプリケーションを動かしたい要望には高機能版を提案する。すでに一部引きあいもある」(芦谷氏)。
スケジュールとしては、2014年度第1四半期にJava ME Embedded 3.3でデモシステムを構築。第2四半期にJava ME Embedded 8.0対応と次期WLAN Smart Moduleを開発。第3四半期にJava ME Embedded 8.0でシステムを構築する。
オラクルのJava Embedded グローバル・ビジネス・ユニット シニアセールスディレクターの島田源氏は、Java ME Embeddedについて解説した。組み込み分野での利点として、携帯電話など過去からの実績、マルチタスク処理、アップグレードに適していること、リモートでのソフトウェアの展開や管理、複数のOSやCPUへの対応を強調する。
米国時間4月30日にリリースされるJava Embedded 8では、対象とするメモリサイズに応じて、2MバイトのRAMを想定した「Full Profile」、512Kバイトを想定した「Standard Profile」、128Kバイトを想定した「Minimum Profile」の3種類のプロファイルセットが用意される。
島田氏は国内でのJava ME Embedded 8戦略として、「ゲートウェイではすでにJavaが普及している。そこにつながる接続デバイスへのJava搭載を推進していきたい。異なるプラットフォームが混在するのをJava VMで吸収する」と説明。さらに「センサー+スマートWi-Fiモジュールの普及を推進していきたい。すべての産業にIoTが普及して、そのすべてがJava ME Embeddedの対象となる」と抱負を述べた。