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レッドハット、複数のDBの仮想化を実現する「JBoss Data Virtualization」
(2014/2/21 06:00)
レッドハット株式会社は20日、データ仮想化製品「Red Hat JBoss Data Virtualization 6」の日本での提供を開始した。米国では、2月11日に提供を開始した製品。サブスクリプション価格は、16Core Standardで年額468万円からとなる。
JBoss Data Virtualizationは、複数のデータベースを束ねて1つのデータベースに見せるためのソフト。さまざまなデータベース管理システムなどに対応するアダプタを持つ。JBoss Data Virtualizationを仮想的なデータベースとしてSQLなどで問い合わせを実行すると、それぞれのデータベースに対してJBoss Data Virtualizationが問い合わせを実行し、その結果を統合して返す。キャッシュの機能などを持つほか、クラスタリング構成も可能だ。
なおJBoss Data Virtualizationは、従来製品「JBoss Enterprise Data Services Platform 5.3」の製品名を変えた後継となる。今回提供を開始したバージョン6.0では、まず、アダプタとして新しくSAP、Hadoop(Hiveインターフェイス)、JBoss Data Grid、MongoDBなどに対応した。また、データを表やグラフで可視化するダッシュボード機能を追加した。そのほか、ネイティブクエリの呼び出しやSQL-DDLのインポートの強化、JBoss Enterprise Application Platformへの最適化などがなされている。
同日開かれた記者発表会において、レッドハット 製品・ソリューション事業統括本部 ミドルウェア事業部長の岡下浩明氏は、データ仮想化の定義として、「統合すべきデータを移動せずに新しい情報に変える技術」と説明した。
ETL(Extract/Transform/Load)や統合DBMS、SOA(Service-Oriented Architecture)とは異なり、各データベースのデータをリアルタイムで参照しつつ、アプリケーションからはデータベースとして見える点を強調。データソース側を変更せず、プログラミングなしでデータを統合できる点を特徴として、「ETLやSOAと競合せず補完しあう、新しいマーケット」と語った。
実際の利用シナリオとして、国内での事例3点が紹介された。1つ目は、紀陽銀行の事例で、BIツールとの連係。それまでBIツールが銀行システムに直接接続していたため、データやシステムの安全性などが不安視されていた。そこで、JBoss Data Virtualizationを間に置くことで、BIツールから銀行システムに直接アクセスしない構成となった。これは2.5か月で構築されたという。
2つ目は、製造業におけるバッチ処理システムのジョブ削減の事例。データのロード、型変換、集計、表示のフェーズごとにデータベースを持ち、時間がかかるうえ設計の変更がすべてのデータベースに波及するという問題があった。この各フェーズのデータベースをJBoss Data Virtualizationの論理モデルに置きかえた。3カ月で構築し、1月にカットインしたという。
3つ目の事例は、通信キャリアでのビッグデータ分析。Hadoop上のデータと既存の顧客データをJBoss Data Virtualizationで統合して分析する。当時技術プレビュー版のHadoopアダプタを使い、接続に1~2カ月、ソリューション全体は現在進行中だという。
そのほか、想定ソリューションとして、マイナンバーの統合宛名システムとオープンデータ基盤の2つも語られた。
岡下氏は「データ仮想化で業界のリーダを目指す」と語り、競合としてDWHを挙げて潜在市場は大きいと説明。2014年で50顧客を目指すと語った。
実際のデモも、JBossサービス事業部 シニア・ソリューションアーキテクト 河野恭之氏により行われた。日本の顧客のデータベース(MySQLを使用)とAPACの顧客のデータベース(PostgreSQL)が別々にあるケースを想定し、XMLスキーマを辞書としてそれぞれのテーブルのスキーマを標準モデルにマッピングして、仮想データベースとして統合。SQLでクエリをかけたり、新しいダッシュボードで可視化したりするところを見せた。