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ネットワークセキュリティ状況を複合機がレポート、京セラ製品で新技術

ウォッチガード製UTMとの連携で

会見で握手する京セラドキュメント 代表取締役社長の古賀真氏(左)と、米WatchGuard Technologies CEOのジョー・ワン氏

 京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社(以下、京セラドキュメント)とウォッチガード・テクノロジー・ジャパン株式会社(以下、ウォッチガード)は2月5日、ウォッチガードが提供するUTM(統合脅威管理)アプライアンスと京セラ製複合機の連携により、中小企業のネットワークセキュリティ管理にともなう課題を解決する業界初の「セキュリティーレポート連携パッケージ」を、2月下旬より提供すると発表した。

 「セキュリティーレポート連携パッケージ」では、ウォッチガードのUTMアプライアンス「WatchGuard XTMシリーズ」が提供するネットワークセキュリティに関するさまざまな稼働レポートを、京セラ製デジタル複合機の操作パネルから直接印刷出力できる。具体的には、新開発のHyPAS(ハイパス)アプリケーションを複合機に導入することにより、「拒否パケット一覧レポート」「ウイルス検知レポート」「コンテンツフィルタリングブロックレポート」「クライアントごとのWebアクセス一覧」「REDブロックレポート」といったセキュリティ運用で重要な5項目のレポートを、PCを介さずに複合機の操作パネルから簡単に印刷できるようになる。

「セキュリティーレポート連携パッケージ」の概要
5項目のセキュリティレポート

 ウォッチガード 社長執行役員の根岸正人氏は、「現在、UTMの市場は急速に拡大しており、2012年には、ワールドワイドでファイアウォールの市場規模を上回っている。当社のビジネスも好調で、2013年第4四半期は企業全体で過去最高の売上高を記録。特に日本市場においては、グローバル全体の成長率をさらに上回る38%増を達成した。この成長を支えているのが、京セラドキュメントとの協業で、複合機を中心とした販売パートナーを通じて、昨年6月から全国展開を推進している。そして今回、同社の複合機と連携した新たなソリューションとして、業界初の『セキュリティーレポート連携パッケージ』を提供する」と、共同開発の経緯を述べている。

ウォッチガード 社長執行役員の根岸正人氏
複合機の操作パネルからセキュリティレポートを直接印刷

 「中堅・中小企業の多くは、セキュリティ機器を導入してログを収集しているが、その効果がわかりづらい、自社のインターネット利用状況が把握できないといった、運用面の課題を抱えているのが実状。今回のソリューションを利用することにより、システム担当者がいなくても、使い慣れた複合機での簡単な操作で、ネットワークセキュリティの対策状況をグラフィカルなレポートとして出力でき、シンプルなセキュリティ運用を実現する」(根岸氏)としている。

米WatchGuard Technologies CEOのジョー・ワン氏

 複合機から出力されるレポートは、「WatchGuard XTMシリーズ」に標準装備されているリアルタイムセキュリティ可視化ツール「WatchGuard Dimension」によって提供される。「WatchGuard Dimension」の特徴について米WatchGuard Technologies CEOのジョー・ワン氏は、「UTMアプライアンスによって収集されるセキュリティログは膨大な量であり、これを分析するためには、多大な時間と労力が必要だった。『WatchGuard Dimension』では、収集されたセキュリティログをリアルタイムに分析し、その結果をグラフィカルなダッシュボードで可視化することができる」と説明。「今回、京セラドキュメントの複合機との機能連携が実現したが、将来的には、同社複合機に『WatchGuard Dimension』の機能を統合していく」と、今後の計画を明らかにした。

 これを受けて、京セラドキュメント 代表取締役社長の古賀真氏は、「今後、DimensionプラットフォームとHyPASを連携させることで、レポートサービスの内容をさらに充実させていく。ユーザーの『WatchGuard』の稼働状況を詳細に分析した診断レポートを提供するなど、複合機を含む企業のオフィスをより快適で安全にするための新たなドキュメントソリューションを提案していきたい」との考えを示した。

京セラドキュメント 代表取締役社長の古賀真氏

 なお、京セラドキュメントでは、「セキュリティーレポート連携パッケージ」の提供開始に先立ち、UTM導入後の運用保守をワンストップで提供する「セキュリティーマネージメントサービス」を2月5日に発売した。「このサービスは、『WatchGuard』の設定変更や管理など専門知識が必要な運用面を、当社が遠隔でサポート対応するもの。例えば、取引先の海外企業からのメールが迷惑メールに分類されてしまった場合や、業務に関係ないメールが届いている場合など、当社のサポート窓口に報告すれば、ニーズに沿った仕分け変更をリモートで対応する」(古賀氏)としている。

 価格は、「セキュリティーレポート連携パッケージ」がオープンで、「セキュリティーマネージメントサービス」は年額6万円(税別)となる。

唐沢 正和