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PBC、Microsoft Dynamicsベースの製薬業向けERP「AX for Pharma」

AX for Pharmaの概要

 株式会社パシフィックビジネスコンサルティング(以下、PBC)は14日、日本マイクロソフトのERPソフト「Microsoft Dynamics AX 2012 R2」をベースにした製薬業界向けソリューション「AX for Pharma」を発表した。伊NEW SATRATEGIES S.R.Lが開発したDynamics AX向けのアドオンを、PBCが日本市場向けにローカライズしたもので、4月下旬の提供開始を予定する。

 Dynamics AXは、Microsoftが提供しているERPソフトの1つで、同時接続ユーザー数が100~3000程度の中堅・大企業を主な対象として想定した製品。日本マイクロソフトでは、国内で提供するERPソフトの中核製品に位置付け、自らが日本向けのローカライズを行った上で提供している。

 今回発表された「AX for Pharma」は、Dynamics AXの最新版であるDynamics AX 2012 R2をベースに、製薬業界向けに特化した機能を提供するアドオンソリューションである。

 製薬業界では現在、PIC/S(医薬品査察協定および薬品査察協同スキーム)への日本の加盟が2014年中にも認められる見通しであることから、PIC/S基準のGMP(適正製造規範)同等のガイドラインに適合できるレベルが要求されているとのこと。

 そこでPBCでは、PIC/S加盟国が多い欧州で開発されたAX for Pharmaについて、機能評価や厚労省CSVガイドラインとの収れん作業を進めた結果、PIC/S GMPおよび最新のGAMP(自動化製造実践規範)に調和している点を評価して、同アドオンの国内提供を決めたという。

 Dynamics AXはもともと、各パートナーが独自のソリューションをアドオンできるような仕組みが標準で用意されており、AX for Pharmaもこうした仕組みを利用し、Dynamics AXのプロセス製造業向け標準機能と連携して動作する。

 具体的には、製薬業界向けの統合ソリューション「Basic Pharma」を中心に、GMPプラント保全のための「GMP Plant Maintenance」、ABC原価計算をサポートした「Activity-Based Product Costing」、秤量機との連携のための「Dispensing」などのモジュールを提供し、Dynamics AXの標準機能を補完した。

AX for Pharmaは、Dynamics AX標準の連携機能を利用したアドオンとして提供される
Dynamics AXの上で動作するため、Dynamics AXの豊富な機能をそのまま利用できる点が強み

 一方、製薬業界では、グローバルでの市場競争の激化などを受け、コストの低減と品質の確保という相反した課題を抱えているという。このためには、競合となるERPソリューションと比べて導入・運用ともに低コストでの提供が求められるが、「AX for Pharmaでは、導入時、運用時とも、競合となる大手ERPパッケージの1/3~1/5のコストで済む」(PBCの小林敏樹社長)ことから、その面でも顧客の要求に応えられるとした。

 40ユーザー時の想定価格は、AX for Pharmaのライセンスが700万円、Dynamics AX本体のライセンスが335万3200円。年間保守料金は、それぞれの価格の16%となる。

 なおPBCは、こうした特徴を持つAX for Pharmaを、国内の中堅・大規模の医薬・製薬企業に対して提供し、2014年度には5億円、2017年度まででは累計90億円の売り上げを見込む。また今後は、より規模の小さな製薬企業に向け、Microsoftの中堅・中小企業向けERP「Dynamics NAV」をベースにした、SaaSによる提供も計画しているとのことだ。

ライセンス価格例。PBCが試算したところでは、他社製ERPの1/3程度の費用で済むという
PBCの小林敏樹社長

石井 一志