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Agoopとマイクロソフト、「通行量」を正確に判別できる流動人口データを提供

 株式会社Agoopと日本マイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)は13日、スマートフォンアプリに蓄積されるビッグデータから流動人口データを抽出し、Windows Azureベースで提供するサービス事業で協業すると発表した。

 流動人口データは、例えば、人の通行量の多い通りと少ない通りを詳細に判別するといったもの。従来の流動人口データの2つの課題であった「位置情報の正確性」と「プライバシー保護の問題」を克服し、より安全性が高く正確なデータ提供を実現するという。

 企業や自治体などは、今まで画一的に扱われてきたエリアの流動人口による価値を、より細かい区画や通りといった単位で把握。流通・飲食チェーンの出店計画などビジネスの投資判断や、自治体の都市計画、観光地における動的な人口情報の把握など役立てられる。

 特長は、Agoopが提供するスマートフォン向け各種チェッカーアプリによって測定したGPSデータ(位置情報)を基に、今までの流動人口データに比べて格段に精度アップしている点。例えば、人の通行量の多い通り/少ない通りが交わる交差点は、従来の計測方法では交差点全体が交通量が多いと表現される場合があった。今回の仕組みでは、この場合も通行量の多い通り/少ない通りをきちんと判別できるという。

 また、データは位置情報のみを利用することに同意したユーザーのアプリから収集され、位置情報のみを集計し、個人情報を含まない統計情報とする。このデータに対して、SQL Serverのデータマイニングエンジンを利用し、位置情報によるクラスタ化によって属性情報を割り当てる。これにより、年齢・性別、住所といった実プロファイルを利用することなく、位置情報履歴だけで属性を推察し、プライバシー保護の問題を克服できるという。

 この流通人口データは、情報の即時利用を希望するユーザーに最適化された形で提供するほか、自らの切り口で分析したいユーザー向けに、データベースのアクセスを提供するDaaS(Database as a Service)という形でも、データ活用コンサルティングとともに提供する。データはExcelから直接活用でき、マイクロソフトの地図サービス「Bing Map」上に可視化することも可能。データサイエンティスト以外の従業員や職員でも簡易な手続きでビッグデータを活用できるとしている。

 協業における両社の役割としては、流動人口データについてノウハウを持つAgoopが情報提供方法を設計し、マイクロソフトがその実現方法をビジネスモデルからクラウド実装まで支援する。データの集計・分析にはSQL Serverを、インターフェースにはExcelを利用。Windowz Azure上からクラウドサービスとして提供する。

 価格は月額80万円から。ビッグデータ活用を検討する企業に共同提案し、初年度100社の導入を見込む。

 なお、今回のサービス提供に先立ち、複数の企業にパイロットサービスを提供している。飲食チェーン、スーパーマーケット、スポーツジム経営、大学の研究機関、銀行、タバコ会社、旅行代理店などが、新規出店計画、ATM・自販機の設置個所の立地調査、観光都市における動的な人口情報の把握などに活用中。

川島 弘之