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AR技術によるリアルタイム遠隔地作業支援、NTT東日本が実証実験

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は25日、NTTが開発した「ARサポート機能」に関する実証実験を開始した。AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いて遠隔地の現地作業者をサポートするもの。現地作業者のスキル習熟度に依存せずに専門性の高い作業が可能になると期待される。

 ARサポート機能は、テレビ電話とAR技術を組み合わせたもの。スマートデバイスを用いて撮影する映像に対して、AR技術を用いた図形を任意の個所に表示できるとともに、映像の撮影範囲やアングルの変更に応じて、図形もリアルタイムに追従できる。これらの処理はクラウド上のサーバーで実施するため、PC・スマートデバイスへの負荷も軽微だ。

「ARサポート機能」の概要
従来のAR技術との比較。従来はAR設定情報(いつどこに・何を表示するか)の事前登録が必要だった。今回の技術ではネットワークを介してリアルタイムにAR設定情報を登録できる

 現状のさまざまな作業支援・サポート業務の場において、遠隔から音声通話のみでは相互理解に時間を要する場合があることから、今回の実証実験に踏み切った。現地作業者とリアルタイムに映像を共有しながら的確な作業連絡・指示などが行えるため、作業時間および作業者の育成期間の短縮といった効果が見込めるという。

 NTT東日本は、実証実験の結果を踏まえ、新たな商用サービスの提供についても検討する。

 なお、実証実験はNTT東日本とNTTに加え、リコーテクノシステムズ、パナソニックコンシューマーマーケティングの協力を仰ぐ。

 NTT東日本は、実用性(UIの利便性・映像品質など)の評価・検証、商用サービスに向けた課題・解決案の検討などを担当。NTTは、技術提供のほか、技術的な課題・解決案の検討(空間認識精度・図形の追従性など)を担当。また、ビジネスホンなどの保守・メンテナンスにおいて高い専門性を要する故障に対応する際に同技術を活用し、実証実験とする。

 このほか、リコーテクノシステムズとパナソニックコンシューマーマーケティングも実証実験に参加。通信機器の保守など自社業務において「ARサポート機能」を活用する。

 リコーテクノシステムズは、大型プリンタなどの保守・メンテナンスにおいて、高い専門性を要する故障に対応する際に同技術を活用。パナソニックコンシューマーマーケティングは、取扱販売店をサポートする営業社員から本社ヘルプデスクに商品に関する問い合わせがあった際に同技術で対応する。

リコーテクノシステムズの実証実験
パナソニックコンシューマーマーケティングの実証実験

 実証期間は10月25日~12月27日。NTT東日本では実証実験に参加を希望する事業者を募集している。

川島 弘之