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大林組、NEC、GRAPHISOFTによる「スマートBIMクラウド」が完成

クラウドで早期合意形成や建物品質の向上を実現

スマートBIMクラウドの構成イメージ

 株式会社大林組は26日、日本電気株式会社(NEC)およびハンガリーGRAPHISOFTとともに、建設業界におけるBIMの普及に必要不可欠な、建物情報の統合化と情報共有を図るクラウドコンピューティング環境「スマートBIMクラウド」を完成させ、2013年10月から本稼働すると発表した。

 スマートBIMクラウドは、NECの持つ大規模クラウド構築ノウハウと、BIMソフトベンダーのGRAPHISOFTの技術、そして大林組の設計施工におけるBIM導入実績を組み合わせ、BIM活用・展開の最大メリットとされる「プロジェクト関係者相互の安全で円滑な情報共有」を実現したのが特徴。

 今回の完成に伴い、BIM導入の加速化に必要なITインフラ環境が整い、膨大な建物情報へ効率よくアクセスすることが可能となったという。今後は、発注者、設計会社、施工会社、専門工事会社など、建築プロジェクトにかかわるチームが建物情報を共有し、プロジェクトの最適化という共通目標に向けた合意形成を早期に図ることが可能となる。

 スマートBIMクラウドによって、大林組から顧客へ提供可能となるのは、1)オンデマンドな情報取得による早期合意形成、2)大量データの効率的活用による建物品質の向上の2点。

 1)は、設計や施工、竣工時などプロジェクトのあらゆる過程で、建物の3次元情報をWeb上からいつでも・どこからでも・手軽なタブレット端末で確認可能となる。プロジェクトの進行中、常に最新の建物モデルを共有することで、顧客が容易に理解を深めることができ、その意向が早期に反映可能となるとともに、関係者間の円滑な合意形成を実現するという。

 2)は、社内外の関係者が建物に関する大量のデータベースを効率的に利用し、スピーディかつ正確な情報が連携できる環境が提供される。データベースには建物モデルだけでなく、設計プロセス、調達や各種シミュレーション情報など、建物にかかわるさまざまな情報が盛り込まれることから、それらを生産プロセスにおいて活用することで、円滑な工程の進ちょくとさらなる品質の向上につなげられるという。

 大林組は、2013年7月現在で設計施工プロジェクトの約半数にBIMを適用しており、今後さらに展開を加速させる予定。そのため、現在のBIM推進室を改編し、2013年10月1日付けでPDセンターを設立する。(「P」はProduct、「D」はDesign/Delivery/Digitalの意)

 PDセンターは増加するBIM適用プロジェクトに機動的に対応するだけでなく、BIMを使った次世代生産システムの実現を目指すものとのことで、スマートBIMクラウドはこの新しい建設プロセスを支えるインフラとして大きな役割を果たすことになる。

川島 弘之