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シマンテック、中小企業向けに「Backup Exec」をアプライアンスで提供

仮想環境のバックアップ導入の手間を削減

代表取締役社長の河村浩明氏
プロダクトマーケティングマネージャの長島理恵氏

 株式会社シマンテックは4日、企業向けバックアップアプライアンス製品「Symantec Backup Exec 3600」を発表した。価格は198万3200円(税別)から。10月1日に発売する。

 Backup Exec 3600は、バックアップソフト製品「Symantec Backup Exec 2012」を搭載したアプライアンス製品。シマンテックがハードウェア製品をリリースするのは珍しいが、米Symantecで2012年7月にCEOが交代し構造改革を進める中で、「顧客がより使いやすく求めやすい形でソフト製品を提供する方針を立てた。その1つがクラウドで、もう1つがアプライアンス」と代表取締役社長の河村浩明氏が語るように、アプライアンスにも力を入れているのが最近のシマンテックだ。

 ターゲットは、仮想化環境を構築したい中小企業。仮想環境のバックアップにおける3つの課題に対して解決策を提示する。課題は「仮想マシンの数に比例して増大する運用負荷」「仮想マシンやデータの増加に伴うバックアップ時間の肥大化」「複雑な導入前準備作業」(プロダクトマーケティングマネージャの長島理恵氏)。

 「運用負荷」と「バックアップ時間」に関しては、ソフト製品の機能強化により解決策を提示してきた。例えば「運用負荷」に対しては、追加された仮想マシンを自動的にバックアップ対象に加える「ダイナミックインクルージョン機能」を実装しているし、「バックアップ時間」に対しては、仮想化環境に最適化された重複排除機能「V-Rayテクノロジー」を実装している。

 「V-Rayテクノロジー」は、仮想イメージの先にあるファイルを透視し、バックアップ処理のためのブロック分けを効率的に行う機能で、仮想イメージ上の変更個所だけをバックアップするため、高い重複排除率を実現。元データが100GBだとするとバックアップするのは8GBのみと、実に92%の重複排除が可能という。

 これらの機能を盛り込みつつアプライアンスとして提供するワケは、「複雑な導入前準備作業」を簡素化するためだ。仮想化環境は1台の物理サーバーに複数の仮想マシンを起動させる。それぞれの環境ごとにデータが蓄積されていくため、導入時のサイジングが分からないことが「企業の最大の悩みとなっている」(河村氏)。アプライアンスとしてあらかじめ最適化することで、「専門家でなくともポリシーや設定が可能となり、複雑な導入前準備作業が不要になる」(長島氏)という。

Backup Exec 3600
製品概要

 価格は198万3200円(税別)から。物理サーバー数3~5台、仮想マシン数30~50台の中小企業を対象とする。販売はソフトバンクBB、ダイワボウ情報システム(DiS)、ネットワールドをディストリビュータとし、全国のリセラーを通じて行う。

 シマンテックはパートナー向けに重複排除アセスメントツールを無償公開するほか、検証機の貸し出し、技術資料の提供、個別勉強会の開催といった支援体制を整え、市場を盛り上げていく。

川島 弘之