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リバーベッドがWAN最適化製品を強化、自動経路選択やアプリ可視化などを可能に

エントリー向けの新ハードウェア筐体も提供

 リバーベッドテクノロジー株式会社(以下、リバーベッド)は19日、WAN高速化アプライアンス「Steelheadシリーズ」向けのOS「RiOS」において、新版「同 8.5」を発表した。また同時に、エントリー向けのハードウェアプラットフォーム「Steelhead CX 255」も発表している。いずれも、提供開始は9月以降の予定。

 Steelheadシリーズは、WANを経由した多拠点間の通信を最適化・高速化するアプライアンス。こうしたWAN高速化アプライアンスは従来、データセンターと企業の各拠点との通信において、MPLSネットワークの最適化などに用いられてきたが、安価で帯域の広いインターネットVPNや広域イーサネットサービスがますます普及してきたこと、またクラウドサービスの利用が急増していることなどを踏まえ、ハイブリッド型の複雑なネットワークに対応できることが求められてきたという。

 そこでRiOS 8.5では、パスセレクション(経路選択)機能とQoS機能により、アプリケーションごとの適切な経路選択とサービスレベルの確保を可能にした。シニアテクニカルコンサルタントの寺前滋人氏は「同じ80番ポートを利用していたとしても、あて先や中身によって、通信経路を使い分けられるようにした。また、2つのキャリアと契約しているような場合には、一方の回線の遅延がしきい値を越えた場合にルートを変える、といった設定も行えるようになったため、エンドユーザーの体感に影響を与えずに、経路を使い分けることも可能。安価で太い回線を有効に活用し、パフォーマンスを向上させるとともに、エンドトゥエンドのアクセス監視により、信頼性も向上できる」と、このメリットを説明する。

ハイブリッドネットワークによるネットワーク構成の複雑化を受け、パスセレクション機能を提供する
パスセレクション機能によるメリット

 2つ目の強化としては、SharePoint 2013やExchange 2013、Office 365などとの連携により、アプリケーションレベルで遅延の最適化を実現。さらに、Windows 8やWindows Server 2013が利用している、SMB v3環境に対する最適化も行われている。

 このほかNetAppとの連携により、NetApp SnapMirrorを用いた通信の中身を識別できるようになった。従来は、「同じポート、IPを利用したペアの間で複数の異なるレプリケーションが行われるので、最適化をうまく行いにくかった」(寺前氏)とのことだが、通信の中身を見てどういうトラフィックなのかを識別し、QoSもかけられるようになったため、RiOS 8.5では、重要なトラフィックを優先的に最適化できるとのこと。なお、EMCの SRDFについては、RiOS 7.0.3から同様の最適化に対応している。

NetApp SnapMirrorとの連携
シニアテクニカルコンサルタントの寺前滋人氏

 加えて今回は、アプリケーション全般の可視化についても強化されている。リバーベッドのアプリケーション可視化製品である「Cascade 10.0.7」と統合され、より正確にアプリケーションの利用状況を把握できるようになったほか、Steelhead単体の可視化機能も強化されている。

 一方、新アプライアンス筐体のSteelhead CX 255は、従来のSteelhead 150/250の後継にあたる、エントリークラスの製品。筐体の小型化と同時に性能の強化が行われており、同等の価格で従来の最大3倍の性能を発揮できるという。具体的には、もっとも下位のCX 255-Uが最大2Mbps、CX 255-L以上の3製品では最大6MbpsのWAN容量を提供する。

 CX 255の参考価格は32万円から。別途、サポート費用は必要となる。

より深いアプリケーションの可視化に対応
Steelhead CX 255

石井 一志