ニュース
SAPジャパン、統合データプラットフォームとしての機能を強化した「SAP HANA SP6」
(2013/6/27 15:36)
SAPジャパン株式会社は27日、インメモリプラットフォーム「SAP HANA」の最新サービスパック「SAP HANA SP6」を、同日より提供開始すると発表した。
インメモリデータベースのHANAは、2010年11月の出荷開始以来、「SAP BusinessObjects」や「SAP NetWeaver Business Warehouse」などを順次サポートしたほか、2012年11月の「SAP HANA SP5」では、ついにSAP ERPをサポート。「これまでは、HANAの上で動くアプリケーションを充実・拡張させてきたが、SAP ERP対応でいったん節目を迎えた」(バイスプレジデント ビジネスソリューション統括本部長の堀田徹哉氏)という状況だった。
それを踏まえて、今後のHANAはどう進化するのかという道筋を見せたのが、今回のHANA SP6になる。それは、リアルタイムデータプラットフォームの中核、という位置付けだ。堀田氏は、この考え方を「企業が既存システム内に保有しているデータや、ERPシステム内のさまざまな情報、外部のHadoopが持っているような情報など、HANAは多様なデータレイヤで使われるようになった。そこで今回はHANAを中核とし、Sybase製品をはじめとする多様なデータベースを連携させていく」と説明する。
具体的には、今回新たに搭載されたスマートデータアクセス機能を用いてこれを実現している。これはいわば、HANA内でのデータを仮想化する技術。HANAがリモートデータへのアクセスを動的に仲介することで、あたかもHANAの中にデータがあるかのように、アプリケーションへデータが送られることになる。アプリケーションからはいつも通りHANAへアクセスしているだけに見えてもリモートデータを活用できるため、HANAがハブとなってデータの一元的な活用が可能になるわけだ。
データベースとしては現在、Sybase ASE/IQ、Hadoop(Hive)、Teradataをサポート。圧縮などを活用したスマートクエリ処理により、オンザフライでのデータ転送を実現しているほか、対象となるデータベースに応じたチューニングも行うため、異種混在データソースへのクエリを簡素化するとともに、応答時間の最適化を実現しているとした。
また今回は、1)プラットフォーム機能の強化、2)開発者向け機能の拡充、3)データセンターオペレーションの強化、といった観点からも新機能が提供されている。
このうち1)では、地理空間情報(GIS)への対応を強化。業界標準OGCに準拠したGISデータタイプと機能を搭載したことで、GIS連携がよりシームレスに行えるようになった。また、テキスト分析対応言語の拡張と、非構造データ分析のパフォーマンス改善を実施している。
2)では、モデリングツール「HANA Studio Modeler」の拡張、パイロットリリース段階だったアプリケーションサーバー機能「SAP Extended Application Services」の一般提供開始などが行われている。
最後の3)では、ディザスタリカバリ(DR:災害対策)機能を強化し、50km以上のデータセンター間、1:nなどの非対称システムといった場面での非同期レプリケーションのサポートなど、DR、BCPといった観点からの強化が行われている。
なお、ビジネスソリューション統括本部 リアルタイムプラットフォーム部 シニアマネージャーの大本修嗣氏は、「SAP Business Suite powered by SAP HANAを使い、HANAの上だけでERPやCRMを動かしているお客さまはすでに100社以上。国内でも、新規のシステム構築では案件が出ている。また、Amazon Web Services(AWS)上のHANAでも、すでに700以上のインスタンスが稼働しており、オンプレミス、クラウドのどちらの形態であっても、シームレスに同一の機能を利用できる」などと述べ、直近のHANAの広がりを強調。今後もさまざまなHANAの訴求を行っていくとした。