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富士通、IPv4サービスの継続利用とIPv6導入を両立する新技術を開発

 富士通株式会社は10日、IPv4アドレスの枯渇問題に対応するため、IPv4サービスの継続とIPv6導入を両立する技術「SA46Tマルチプレーンエクスパンション」を開発したと発表した。これにより、IPv6ネットワーク上で収容できるIPv4サービスの数を約43億個まで拡張できると同時に、ネットワークの規模や複数の国をまたぐような地理的距離を問わないスケーラビリティを実現するという。

 IPv4アドレスの枯渇問題に備えるため、IPv6アドレスへの対応が進められているが、現在主流のアプローチであるデュアルスタックに対応できず、今後はIPv6でしか構成できないネットワークが発生することが予測されているという。そのため、IPv4で構成された各種サービスのIPv6対応が求められているものの、短期間でのIPv6化は必ずしも容易ではなく、IPv6移行までの間、IPv4サービスの継続利用が求められている。

 今回開発された「SA46Tマルチプレーンエクスパンション」は、IPv6ネットワーク上でIPv4サービスの通信を可能にするバックボーンネットワーク側の技術「SA46T(Stateless Automatic IPv4 over IPv6 Tunneling)」、末端のネットワーク(スタブネットワーク)側の技術「SA46T-PR」、「SA46T」と「SA46T-PR」のドメインを相互接続する技術「SA46T-PT」といった3つの要素技術から構成されるもの。

 「SA46T」と「SA46T-PR」により、それぞれIPv4サービスをIPv6ネットワーク上で通信することが可能になるほか、「SA46T-PT」でその両方を相互接続することで、エリア間をまたぐネットワーク上でも、IPv4サービスを簡単な設定で継続して利用するできるようにする。

 今後、IPv6でしか構成できないネットワークが構築された場合、そのネットワーク規模により、「SA46T」か「SA46T-PR」かを使い分けることで、適材適所の構築が可能になる点がメリット。これらの技術をネットワーク機器に実装し、簡単な設定を行うだけで、従来のIPv4サービスを止めることなくIPv6ネットワークに対応可能になるため、IPv6への移行もスムーズに進められるとのこと。

 なお富士通では、6月12日から14日に幕張メッセで開催される「Interop Tokyo 2013」の展示会で、Interop ShowNetと連携したライブデモを行い、「SA46T」「SA46T-PR」および「SA46T-PT」技術の実証を行うとしている。

(石井 一志)