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400GbEの標準化は2017年を目標、IEEE標準化グループの米Dellダンブロシア氏

米Dellのジョン・ダンブロシア氏

 デル株式会社は9日、米Dellのチーフイーサネットエバンジェリストを務めるジョン・ダンブロシア氏による、イーサネットの最新動向に関する説明会を開催した。

 ダンブロシア氏は、IEEEにおいて40ギガビットイーサネット(40GbE)と100ギガビットイーサネット(100GbE)のタスクフォースで議長を務め、約3週間前にIEEEに承認された400ギガビットイーサネット(400GbE)スタディグループでも議長代理を務めている。

 ダンブロシア氏は、「過去にはバンド幅の予測が甘かったため、イーサネットが市場のニーズを満たせなかった時期があった」として、イーサネットの高速化仕様を策定するにあたっては市場を広く見る必要があると説明。世界全体のアクセススピード高速化に加え、モバイルデバイスの急速な普及により、ネットワーク全体の成長率は年58%のペースになっており、現在最速の100GbEでも将来的なニーズを賄うことは難しく、より高速なイーサネットが求められているとした。

 また、「仕様の策定にあたっては、適切なコストで実現することが最も重要」という観点から、スタディグループの立ち上げにあたっては綿密な市場調査を実施し、「将来的には1TbEや10TbEも必要になるのは間違いないが、今取り組むべきは400GbEだという結論に達した」という。

 400GbEの標準化については、2017年ごろを目標にしていると説明。また、製品については仕様がある程度固まった段階で標準を先取りする形で、2016年ごろには登場するのではないかとの見通しを示した。

 400GbEが使われる領域については、ラック内やデータセンター内の数十mという範囲から、メトロエリアを結ぶ数kmといった様々な用途があり、用途に応じてマルチモードファイバー(MMF)やシングルモードファイバー(SMF)、さらには銅線を使う仕様も検討していくと説明。「銅線の時代はもう終わったという人もいるが、私はそうは思わない」としつつも、「個人的な見解としては、SMFが今後は様々な用途に利用されていくのでないかと思う」と語った。

 ダンブロシア氏は、規格にはコストや消費電力、技術的な難度などバランスを取ることが求められており、用途に応じた様々な実装も求められると説明。フォトニック統合やシリコンフォトニクスといった技術については、「400GbEを実現する上での鍵となる技術と言う人もいるが、私個人としては実装の一手段だと考えている」とした。また、「規格はIEEEが決定するのではなく、IEEEで参加者が決定するもの」だとして、標準化にあたってはコンセンサスが必要だという点を強調した。

世界各地でアクセススピードが高速化
データセンター内からメトロエリアまでを想定
MMF、SMF、銅線の利用も想定
適切なコストで実現できる規格を念頭に

(三柳 英樹)