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日本HP、OEMパートナーを支援する「HP Converged OEMプログラム」

昭島工場での国内生産で高品質の組込ソリューションを実現

日本HP 常務執行役員 エンタープライズインフラストラクチャー事業統括の杉原博茂氏

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は4月2日、x86サーバー「HP ProLiant」をベースとした独自システムおよびソリューションで事業展開を図るOEMビジネスパートナーを支援する「HP Converged OEMプログラム」を発表した。同日には、「HP ProLiant」の国内生産拠点である日本HP 昭島事業所(以下、昭島工場)において、新プログラムの説明会および昭島工場の見学ツアーが行われた。

 今回発表した「HP Converged OEMプログラム」は、HP ProLiantをプラットフォームとして、自社のソフトウェアやハードウェア、サービスを組み込んだ独自ソリューションをエンドユーザーに再販売するOEMビジネスパートナーを支援するもの。同プログラムを展開する背景について、日本HP 常務執行役員 エンタープライズインフラストラクチャー事業統括の杉原博茂氏は、「現在、日本企業は、アベノミクスによる景気回復への期待から、攻めの設備投資へと転換しつつある。一方で、事業のグローバル化に向けたインフラ整備や、コスト競争力のさらなる強化が求められており、今後、IT技術の重要性がさらに高まることが予測されている。こうした市場環境の中で、今回、新たに『HP Converged OEMプログラム』を提供することで、日本企業の価値づくりをIT技術の側面から支援していく」と述べた。

「HP Converged OEMプログラム」の概要

 同プログラムは、「HP ProLiant OEMファミリー」、「HP OEMカスタマイズ・サービス」、「HP OEMホットラインサービス」、「グローバル・プライシング」の4つの要素で構成される。「HP ProLiant OEMファミリー」は、OEM専用のサーバー製品群で、「HP ProLiant DL360p Gen8」、「同 DL380p Gen8」、「同 BL460c Gen8」、「同 ML350p Gen8」の4シリーズをラインアップしている。主な特長としては、5年のオンサイト保守を標準保証することに加え、次世代プロセッサが供給される期間(最長で2世代分)まで購入が可能となっている。また、ノンブランドのフロントベゼルがオプションとして提供されるため、自社ブランドのロゴを貼付し、自社の単一ブランドとして再販することができる。

 「OEMカスタマイズ・サービス」では、すべてのHP ProLiant製品を対象として、HPの製造ラインでの自社ブランドのロゴ貼付や、立ち上げ時に表示されるスプラッシュスクリーンでのHPロゴの非表示などのカスタマイズに対応する「HP FactoryExpress リブランディングサービス」を提供。また、HPの製造ラインにおいて、OEMビジネスパートナー指定のソフトウェアのインストールやハードウェアオプションを本体に構成できる「HP FactoryExpress インテグレーションサービス」も提供する。

「HP ProLiant OEMファミリー」でオプション提供されるノンブランドのフロントベゼル
HPブランドのフロントベゼル(上から1つ目と2つ目)と、「OEMカスタマイズ・サービス」でパートナー仕様にカスタマイズされたフロントベゼル(上から3つ目と4つ目)

 「HP OEMホットラインサービス」は、海外市場でHP ProLiant組込システムを販売、もしくは関連サービスを提供するOEMビジネスパートナーを対象に、全世界で利用可能な英語対応の専用コールセンターを用意し、障害対応を受け付けるサービス。これにより、世界各地から均一に英語でのサポートを受けることができ、現地の言語での対応が不要となる。将来的には、国内ビジネス向けに、日本独自のサポートプログラムとして、「HP OEMアドバンスト・ソリューション・サービス」を提供する予定。

 「グローバル・プライシング」では、HP ProLiantとそのオプション製品について、購入量に応じて個別にドルでの基準価格を設定。この基準価格をベースに、国内での提供価格を決定する。また、海外展開するOEMビジネスパートナーにおいても、この基準価格をベースとし、各国市場でのローカル価格を設定するという。

 これらにより、OEMビジネスパートナーは、自社でシステムを開発する場合に比べ、より迅速かつ低コストでのシステム販売が可能となる。また、昭島工場で国内生産を行うことで、HPの品質基準が保証され、かつHPの保守サポートを受けられるため、高品質なシステムの開発と安定した運用環境を実現できる。さらに、自社ブランドにカスタマイズすることができるため、自社のCI/ブランド戦略に沿ったシステム開発、販売も可能となる。

日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部 統括本部長の橘一徳氏

 「HP Converged OEMプログラム」のターゲット業種について、日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部 統括本部長の橘一徳氏は、「このプログラムはOEMビジネスパートナーを対象に提供するが、その中でも、製造業、サービスプロバイダー/データセンター事業者、ソフトウェアベンダーの3つの業種にフォーカスして事業展開を行う」としている。「製造業では、医療機器、通信機器、印刷機器、半導体製造装置、監視システム、放送/映像機器などへの組み込み再販売を支援する。サービスプロバイダー/データセンター事業者では、専用システムをHP ProLiantに組み込み、ホスティングサービスを提供するOEMパートナーを支援する。そして、ソフトウェアベンダーについては、HP ProLiantに専用システムや特殊機器などを組み込んで、アプライアンスとして再販売するビジネスを支援していく」と説明した。

 また、同社では、今回のOEMプログラムによるビジネスを展開するにあたり、2012年11月に、市場開発部門として、ストラテジックパートナー営業統括本部内にOEMビジネス推進部を新設している。橘氏は、「今後、OEMビジネス推進部が中核となり、プリセールスエンジニア、製造エンジニア、製品企画、保守エンジニアで構成される専任の社内横断タスクチームを結成し、製品化から販売、保守までOEMパートナーのビジネス全般をサポートしていく」との考えを示した。

昭島工場のHP ProLiant製造ライン
「OEMカスタマイズ・サービス」でパートナーロゴにリブランドされた梱包箱(左)と、HPブランドの梱包箱(右)

 説明会の後には、昭島工場のHP ProLiant製造ラインを見学。今回の「HP ProLiant OEMファミリー」で提供されるノンブランドのフロントベゼルや、「OEMカスタマイズ・サービス」でロゴをリブランディングしたフロントベゼルや梱包箱、パートナー仕様にカスタマイズしたフロントベゼルなどが展示された。また、サーバー立ち上げ時に表示されるスプラッシュスクリーンのHPロゴを非表示、およびリブランディングするデモも行われた。

(唐沢 正和)