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Fusion-io、“ハイパースケール”市場向けのフラッシュストレージ「ioScale」
(2013/3/1 06:00)
米Fusion-ioは2月28日(日本時間)、大容量のフラッシュストレージカード「Fusion-io ioScale」を日本国内向けに提供開始すると発表した。クラウド事業者や大規模データセンターを運営する企業などに向けた製品で、従来は数千台規模のサーバーを持つ顧客向けに提供してきたが、今回より100枚単位での販売に対応するという。
「ioScale」は、カードあたり最大3.2TBの大容量と、1GBあたり3.89ドルからの低価格を両立させたPCI Express(PCIe)接続のフラッシュストレージ。超大型データセンターを運営するクラウド事業者などの、いわゆる“ハイパースケール”向けにデザインされているのが特徴だ。
CEO兼会長のデイビッド・フリン氏は、「エンタープライズとは異なるニーズに対応するための製品。価格を抑えて大容量を提供するので、オールフラッシュの環境も実現しやすくなっている」と話す。
“ハイパースケール”とは、その名の通り、非常にたくさんのLinuxサーバーなどを用いて、スケールアウト型のシステムを構築しているデータセンターを指す。こうしたデータセンターでは高密度化、シンプル化が求められるが、「ioScale」ではUEFIをサポートするサーバーを直接起動できるほか、大容量のフラッシュメモリとシングルタイプのコントローラをハーフレングスのPCIeカードに納めているので、小さいフォームファクタのサーバーでも複数枚を収納可能。スペースが限られたスケールアウト用サーバーから、RAIDコントローラやディスクドライブを排除できるとした。
なお、「ioScale」に限ったことではなく、エンタープライズ向けの「ioDrive」などにも共通する点だが、PCIeに直接接続することで、RAIDコントローラやディスクドライブ、接続ケーブルなどを排除してシステムを単純化できるのは、信頼性を確保する上で大きな意味を持つ。
フリンCEOは、例えば信頼性について、「SSDやRAIDコントローラを利用したシステムでは、時には、コネクタやケーブルがSSDそのものよりも高い故障率を引き出してしまうので、それを排除するだけで信頼性を上げられる。ハイパースケールではこれは重要だ」とそのメリットを説明する。
また、Apple Computer(現・Apple)創業者の一人であり、2008年からFusion-ioでチーフ・サイエンティストを務めるスティーブ・ウォズニアック氏も、「ディスクがケーブルでつながれているうちは、その分だけ信頼性が下がってしまう。それをすべて省略しようというのが方向性だ」と述べ、自社のアプローチの優位性を強調した。
性能面でも、SSDを利用する競合ベンダーと比べて大きな優位性があるという。
フラッシュメモリを用いる点ではSSDもioScaleやioDriveも同じだが、Fusion-ioではフラッシュをディスクではなくメモリとして扱えるようにするダイレクトカットスルーアーキテクチャを採用しており、これによってリード・ライトともに安定したパフォーマンスを実現している。
フリンCEOは、「これがレガシーストレージのアーキテクチャを使うSSDと、当社のようなネイティブなメモリストレージとの違いだ。SSDは安定した性能を発揮できないため、ミッションクリティカル領域では利用できない」と述べ、SSDに対する強みを繰り返しアピールしていた。