ニュース

F1チームのザウバー、ネットアップの「FlexPod」や「MetroCluster」を採用

 ネットアップ株式会社は21日、F1チームのザウバーF1チーム(Sauber F1 Team:ザウバー)が、ストレージ基盤としてネットアップ製品を採用したと発表した。

 F1では、車両の整備や走行に関する戦略をリアルタイムの情報をもとに決定するため、データはチームの競争力を決定づける、重要な要素のひとつとなっている。ザウバーでも、サーキットを走行中の車両データや風洞テストの結果、またスイスのヒンウィルで実施されるCFD(流体力学シミュレーション)のデータなど、ほぼ24時間体制でデータを収集・解析しており、そのプラットフォームとして、データセンターソリューション「FlexPod」とクラスタリングソリューション「NetApp MetroCluster」を活用しているという。

 例えば、車両がサーキットを一周する間に、車体に設置された100個のセンサーからは合計20~30MBのデータが収集されるが、特にタイヤ、エンジン、温度、燃料消費量などの3~4MBのデータはFlexPodへリアルタイムで送信され、ピットチームによるレース中の迅速な戦略策定を実現している。

 このFlexPodの採用により、ザウバーはサーキット内での機器設置面積と電力消費量を50%削減しているが、さらに、小型フォームファクタであり、世界各地のF1レース会場に持ち運びできる点、過酷な気象状況でも性能を発揮するモバイルデータセンターとして運用可能な点が評価されているとのこと。輸送中のシステムには振動や衝撃が加わるだけでなく、例えばマレーシアグランプリでは、湿度がほぼ毎回100%となり、サウナでシステムを動かしているような状況になるものの、FlexPodはきちんと動作して期待に応えているという。

 一方、ザウバーのシステムはすべてMetroCluster上で稼働し、40の事業部門で利用されている。ザウバーが行う風洞テストでは毎日5200MB、CFDシミュレーションは1年で10TBものデータが生成されるが、エンジニアはMetroClusterにより、シームレスで時間と場所を問わないデータアクセスを提供できるため、次回のレースで10分の1秒のタイム短縮を実現するための戦略策定に利用できるとのことだ。

(石井 一志)