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日本HP、ビッグデータ環境向けストレージサーバー「ProLiant SL4500」
コストの削減を追及、容量単価を従来型ストレージの1/6へ
(2012/12/20 15:11)
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は20日、ストレージの容量単価を追求したストレージサーバー「HP ProLiant SL4500サーバーシリーズ」(以下、SL4500)を発表した。
ビッグデータ時代への対応が求められるストレージ
データ、特に非構造化データの量が爆発的に増える中で、それを保管するストレージについても需要が急速に高まっているのは、ご存じの通りだ。企業の中でのアーカイブ用途ももちろんあるし、クラウド上にデータを保管するクラウドストレージサービスについてもさまざまなクラウド事業者からサービスが提供されるようになった。
そうしたインフラを支える日本HPのようなITベンダーに対しては、大規模に対応できる拡張性と並んで、容量単価をもっと追求できないかという要求が強くなっているという。一般企業にとっても、容量単価が低ければ増え続けるデータの保存をより安価に行えるようになるし、クラウドストレージ事業者であれば、容量単価を抑えれば抑えるほど事業者側の利益確保につながるわけだから、これは当然の要求といえる。
一般に、大規模な拡張性と容量単価の追及を実現するには、内蔵ディスクをたくさん搭載できる汎用のx86サーバーを並列で並べ、ソフトはオープンソースを活用するケースが多いとされる。
従来は、活用する側にノウハウが求められたり、日本で求められる保守や品質のクオリティを満たせなかったり、といった課題を抱えていたオープンソースソフト(OSS)だが、「OSSベンダーが日本でもビジネスの展開を始め、活用する準備が整った段階」(日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部の宮本義敬本部長)こともあって、自前でリソースを持つ一部の大企業以外でも活用しやすい状況を迎えつつあるという。
一方では、データをためるだけではなく、それを活用して価値を出していく、いわゆるビッグデータの分析に対しても企業側の関心が非常に強くなっている。この用途では、容量単価の削減という要求ももちろんあるものの、そこで利用するアプリケーションのワークロードにあわせた、性能と容量のバランスについても求められるようになった。そして、この分野でもOSSの活用が現実的なフェーズに入ってきている。
ビッグデータへの対応という特定目的のためのストレージサーバー
今回、日本HPが提供するストレージサーバーの「SL4500」は、こうしたOSSとの連携を見据えつつ、容量単価の削減と、さまざまなワークロードへの対応を両立させている点が特徴となる。
容量単価削減という面では、4.3Uの筐体に最大60台のディスクを搭載できる高密度化を実現。また、メモリスロットを12に制限したり、10Gigabit Ethernet、PCIスロットなどもオプションでの提供としたりするなど、ハード面での機能を絞り込んだ。
インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部の中井大士部長は、「さまざまな要求に対応するための機能が盛り込まれている汎用のストレージとは異なり、OSSとの連携で、シンプルに必要な機能のみを選択して搭載できることから、従来型のNASストレージと比べて容量単価を1/6に削減できる」と、その価値を説明する。
もう1つの、さまざまなワークロードへの対応という点では、モジュール構造を採用することにより、Xeon E5-2400シリーズを搭載するサーバーノード部分(HP ProLiant SL4540 Gen8)とディスク格納部分の比率を、3通りから選択できるようにしている。具体的には、前述のような、1筐体に最大60台のディスクを搭載できる「1x60」構成ではサーバー部分が1ノードのみであるのに対し、2ノード+25ディスク(最大75TB、1ノードあたり)の「2x25」、3ノード+15ディスク(最大45TB、1ノードあたり)の「3x15」構成を用意した。
日本HPでは、「1x60」構成ではストレージサービスやアーカイブに、「2x25」構成ではメールやnoSQLに、「3x15」構成ではHadoopやVerticaなどのビッグデータ解析用途に向くと説明しており、ユーザー側で必要に応じて最適な構成を選択することになる。
価格は、「1x60」構成の場合117万4950円から、「2x25」構成の場合134万5050円からで、いずれも12月20日に販売を開始。「3x15」構成は2013年春の発売を予定し、価格は未定となっている。
なお12月20日に行われた製品発表会では、連携するOSSパートナーとして、レッドハット、Cloudera、SCSKの3社が紹介された。
レッドハットでは、米Red Hatが買収した米Glusterの製品をベースに、スケールアウトストレージを構築できるソフト「Red Hat Storage Server 2.0」を国内でも提供しており、このハードウェアプラットフォームとして「SL4500」を利用していく考え。
Clouderaは、Hadoopディストリビューション「Cloudera's Distribution including Apache Hadoop (CDH)」を展開しており、ビッグデータ処理の基盤として活用する。また、NoSQL製品「Couchbase」の国内代理店を務めているSCSKも、ビッグデータ処理基盤としての活用を期待している。
日本HPではこれらの3社とソフト/ハードの組み合わせ検証を行うほか、共同プロモーションなどを実施していく予定だが、米HP本社では、すでに10数社との協力関係を築いていることから、国内でも参画企業を順次拡大するとのこと。