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LSIロジック、共有型DASソリューション「Syncro」を展開へ

中小規模向けの共有DASやブート環境統合アプライアンスなどを提供

 「従来は“Protect”“Accelerate”の2本立てだった当社のストレージソリューションに“Share”を加え、3つのラインで展開していく」――。LSIロジック株式会社は6日、ストレージソリューションに関する説明会を開催。米LSI Corporation ストレージ・ソリューション・グループ エグゼクティブバイスプレジデントのフィル・ブレイス氏はこのように述べ、同社の戦略を説明。新製品として共有型DAS(Direct Attached Storage)製品の「Syncro」を投入することを明らかにした。

 現在のLSIロジックは、“Protect”、つまりデータを守るためのRAID製品としてMegaRAID、データを高速処理するための“Accelerate”製品としてNytroの両製品ブランドを提供しており、それぞれの市場では大きな存在感を持っている。

 それらに加えて第3の柱として期待しているのが、Syncroブランドで提供される共有型DASの製品群なのだという。DASといえば、普通は1台のサーバーからのみ利用されるストレージであり、「パフォーマンス、低コスト、管理がしやすいといったメリットがある代わりに、共有や拡張ができず、耐障害性も低いといった問題がある」(ブレイス氏)のが普通だ。しかしSyncroでは、DASでありながらも、共有や拡張ができ、信頼性もあるといった、一般的なDASとは逆の特徴を持ったソリューションを目指すとした。

米LSI Corporation ストレージ・ソリューション・グループ エグゼクティブバイスプレジデントのフィル・ブレイス氏
“Protect”“Accelerate”に“Share”を加えて、3本柱でストレージソリューションを展開するという

 具体的なソリューションとしては、中小規模向けの「Syncro CS」と、大規模データセンター向けの「Syncro MX」を最初に製品化する。そのうちSyncro CSは、1つのストレージアレイを複数台のサーバーから利用できるようにするソリューション。米Microsoftとの協業によって開発されており、Windows Server 2012との連携で実現する。

 これについてブレイス氏は、「中小企業では、高価な大型のSANストレージには手が出ないが、Syncro CSでは容易に耐障害性のあるクラスタ環境を提供できる」と述べ、今後の展開に期待を表明した。なおSyncro CSでは、PC側のインターフェイスにMegaRAIDを用いる。

DASが持つデメリットを克服した共有DASを提供するという
中小企業向けに展開されるSyncro CS

 一方のSyncro MXは、多数のラック型サーバーのブート環境を集約するアプライアンス製品である。24台~48台のサーバーと6Gbps SATAで接続して、それぞれにユニークなブートイメージを提供でき、各サーバーのローカルにブート用のドライブを搭載する場合と比べて、故障率を最大1/100まで低減可能という。

 「大規模データセンターでは、ブート用のディスクが大容量のHDDだったとしても、せいぜい数GBから数十GB程度のデータしか入っていない。これをSyncro MXに集約することで、ディスクの故障率を下げるとともに、管理コストを最大60%削減可能だ」(ブレイス氏)。

 なおSyncro CS/MXは、LSIより直接、あるいはOEM経由で、2013年第1四半期にも提供開始される見込みである。

ブート環境を集約するSyncro MX
Syncro MXのアプライアンスとサーバーをつないだところ

(石井 一志)