日本IBM、ビッグデータ処理向けの新製品群「PureData System」


専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏

 日本IBMは10日、専門家の知見とスキルを実装することでサーバー・ストレージ・ネットワーク資源を最適に統合し、計画・導入・運用までの作業を簡素化する「エキスパート・インテグレーテッド・システム」において、ビッグデータ処理向けの新製品群「IBM PureData System」を発表した。10月26日より販売する。

 PureData Systemは、物理的なIT資源を十分に活用することでビッグデータを高速に処理できるよう、データ処理に特化して最適化された垂直統合型システム。高速データ入出力処理(データベース:DB)用の「PureData System for Transaction」、大容量データの高速分析処理(データウェアハウス:DWH)用の「PureData System for Analytics」、取引される業務処理データを蓄積データと照合するといった即時的な分析処理用の「PureData System for Operational Analytics」の3製品を提供する。

 3製品は、それぞれの処理に最適なアーキテクチャに基づいて構成されており、顧客はデータ処理の特性に応じて適切な製品を選択し組み合わせることで、ビッグデータを効率的かつ高速に処理・分析できる。「単なるハードとソフトの抱き合わせ製品ではなく、SIノウハウも含めたIBMの技術を結集したシステムだ」と、新製品の概要を語る専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏。「あらかじめ多様な“パターン”が用意されており、電源を入れて“パターン”を設定するだけでの1日程度の時間で使用できるのも特長だ」とした。

 また、ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の塚本眞一氏は「現在お客さまは異なるワークロードに対して異なるシステムを利用している。例えば、ログインやオンラインカタログ参照やショッピングカート管理はWebアプリとトランザクション用DBが利用される。その裏のオーダー管理やクレジットカード管理は金融の処理と同様に決しては落ちてはいけないという意味で、継続的可用性を持つトランザクション用DBが求められる。さらに顧客・離反分析、リアルタイム不正検出、感情分析など高度分析用DWHなどが動いており、これまではこれらを縦割りに構築して連携させるのが一般的だった。これらを“トランザクション・ワークロード”と“アナリティクス・ワークロード”に分けた場合、それぞれのタスクに応じて異なる処理要求や特性がある。その多様なワークロード向けにデザインされたものが“パターン”で、これを一緒に提供するのが他社にはIBMならではの強み」と説明した。

単なるハードとソフトの抱き合わせ製品ではないとするPureDataデータ集約型ワークロードに最適化されたモデル

 “パターン”は「PureSystem Centre」というWebサイトで豊富に公開されている。それらはユーザーがカスタマイズすることが可能で、カスタマイズした新たなパターンをアップロードしてほかのユーザーと共有することも可能だ。

 DBであるPureData System for Transactionは、高速なデータ入出力によるデータ更新が頻繁に行われる処理に最適化されている。多数のユーザーからの登録や更新が同時発生するような場合でもデータの整合性を保つため、共有ストレージでデータを管理する。

 コンソール上で、構築するDBの個数やデータ入出力頻度などわずかな情報を設定してパターンを作成し、システムに展開して使用する。ラインアップは取り扱うデータ容量に応じて、メモリ容量およびCPUの個数の異なる1/4ラック(96コア・32TB)、1/2ラック(192コア・64TB)、1ラック(384コア・128TB)の3モデルを用意する。

 DWHであるPureData System for Analyticsは、アプライアンス「Netezza」の技術を活用し、ハードウェアに実装されたデータ処理プロセスと並列処理機能により、蓄積データを高速分析する。ラインアップは取り扱うデータ容量に応じて、1/4~10ラックのモデルを用意する。

 PureData System for Operational Analyticsは、大量データを高速分析処理し、かつ、高頻度で発生するデータ更新に対応するため、並列処理の仕組みとデータ整合性を保つための「トランザクション・ログ管理」といった機能を備える。「Cogbos」ソフトウェアによるBI機能も搭載している。例えば、クレジットカード会社では不正なカード取引を検知したらすぐにカードの取引を中止する仕組みがあるが、同製品は、このような過去の取引データといま取引されているデータをリアルタイムに自動分析し、異常を検知するようなデータ処理に最適という。ラインアップは取り扱うデータ容量に応じて、メモリおよびCPUの個数の異なる4モデルを用意する。

PureData System for Analyticsのハードウェア構成PureData System for Operational Analyticsのハードウェア構成
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